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2017年6月11日(日)秩父宮ラグビー場にてトップリーグ王者のサントリーとスーパーラグビーオーストラリアカンファレンスのワラタスとの試合が行われた。結果は19−21の惨敗となってしまったが、見ごたえのある白熱した試合だったことは間違い無いだろう。

このページでは、この試合で見れた好プレーと、なかなか見れないラグビーの珍プレー、そしてこのサントリー対ワラタスの試合を企画した「秩父宮みなとラグビーまつり2017」のイベントで見えてきた日本のラグビー人口が増えない理由について解説する

サントリーは強い!

両チームとも代表選手はテストマッチに招集されていたため、この試合には出ていなかったもののオーストラリア代表実績のあるロックのウィル・スケルトンや、パナソニックでもプレーしたこともあるウイングのナイヤヴォロやニュージランド クラブ選手権の最優秀選手のイラエ・シモネなどがメンバーに名を連ねた。

 

一方のパナソニックは、No.8桶谷宗汰、セブンスでは知る人ぞ知るWTB松井千士のルーキーが先発、東芝から移籍した SO田村煕も先発出場した。オール日本人というメンバーは、現代のトップリーグでは恐らく見る事はないプレミアムな人選となった。

 

試合開始早々 サントリーはワラタスにディフェンスのギャップを抜かれトライを奪われた。一瞬嫌なムードが会場に流れたが、FL西川征克のトライで同点に追いつき、会場の雰囲気は一転、互角、いや、それ以上の戦いが出来る予感が漂うムードとなった。

 

スクラムも負けていない、ブレイクダウンも負けていない、ディフェンスも負けていない。サントリーのラグビーは強くなっていく日本ラグビーが、世界最高峰のリーグで戦うチームと互角に渡り合えている証でもあった。ワラタスに力で奪われたトライは前半終了間際のモールで押し込まれたトライくらいではないだろうか。それ以外は、ミスから生まれたトライだった。

しかし、負けは負け、2点差と言えどもそのミスに日本が南半球のチームに追いつけない大きな力の差があるのだろう。ワールドカップ2015で南アフリカに勝利するチームに作り上げた、エディー・ジョーンズ氏は、「あれは良かった。これは良かった。」と負けてしまったことを反省しないから日本は弱い!と口にしていたように。

 

ただ、試合を見ていてもサンウルブズが試合をしているのと、対して変わらないレベルの高さに観客は満足していた。何より、この試合で光っていたのは、同志社大学時代からセブンス代表として騒がれていたウイングの松井 千士のディフェンスだ。足が速いため基本的に1対1はきっちり止める。ゲインラインを超えられても後ろからすぐに追いつくタックルでピンチを救ってくれてディフェンスを見せてくれた。

 

やはりトップリーガーともなると、アタックだけでは試合に出るのは難しい。むしろアタックは出来て当たり前。ディフェンスで如何にチームに貢献出来るかが重要だ。そんな中、松井のディフェンス力の高さは光るものがあった。松島幸太郎に引けを取らないハードなディフェンスだ。

>>松井 千士

http://www.suntory.co.jp/culture-sports/sungoliath/result/2017/20170611TW.html

 

試合には負けたものの、日本ラグビーのレベルの高さ、選手たちの好プレーを見ることが出来てラグビーファンとしては満足の試合だった。8月から始まるトープリーグ2017-18でもサントリーのかっこいいラグビーを観れるのが非常に楽しみだ!

中々見れない珍プレー

この試合で生まれたトライは、両チームとも3本づつのトライ。トライ数だと同点だ。つまり、コンバージョンキックの差で負けてしまったのだ。この事については、どのラグビー記事でも書かれていないため試合に見なかった人は「田村選手、外してしまったのか。。。難しい角度だったのかな。。。」と思ったかもしれないが、実際は違う。外してはいないのだ。どういう事かと言うと、

 

蹴らしてもらえなかったのだ。。。

 

後半に11分にPR畠山健介がインゴールに飛び込んで19-7とリードを広げたあのトライの後、コンバージョンキックを蹴らせてもらえなかったのだ。「なんだよ!どう言う事だよ!」と気になってしまった方は、下記の画像をご覧下さい。

トライ後に22m付近からコンバージョンキックを狙おうとしている田村選手。その数秒後↓

お分かりだろうか。キックモーションに入って蹴ろうとした田村選手の前に割って入りこのボールをキックしたのはワラタスの選手だったのだ。ディフェンスはキッカーがボールを蹴ろうと動き出してからプレッシャーをかける事が出来る。

 

ゴール前5mくらいからのキックであれば、チャージ出来ることもしばしあるが、22m付近のボールをキックする事は稀!滅多に見る事が出来ない正に珍プレーが起きたのだ。

 

「早すぎるだろー!(キッカーがまだ動き出していない。)」と通常であれば叫んでしまうかもしれないが、実はこの時、会場の雰囲気は「やっぱりそうだったのか?」というような雰囲気となっていた。何故かと言うと、前半2本目のトライを取った後も、ワラタスの選手が田村選手より先にキックを蹴っているのだ。

 

 

さすがに1本目の時は、「はい。そんなの有りえない。ディフェンスが出てくるの早すぎ。やり直しだ!」という感じだったが、2回目にワララスの選手がキックした時は「もしかして、1つ前のトライの時も。。。」と一部の観客が思っていたかもしれない。。それ以上かも。。

 

しかも、このプレーの後試合の流れが一転しており、サントリーは立て続けに2本のトライを奪われ逆転を許している。もしかしたら、このキックチャージがワラタスに試合の流れを呼び込んだのかもしれない。何より、世界のトップで活躍する選手達の、チャージする為にひた向きに走っている姿を見てちょっと感動してしまった。

日本のラグビー人口が増えない!

この日は東京都港区が主催する「秩父宮みなとラグビーまつり2017」が開催され、秩父宮ラグビー場前の道路は2019年W杯を開催する自治体のブースや飲食店が立ち並び、更にはアイドルも登場しラグビーが好きじゃない追っかけのお兄さん達も大勢で賑わうイベントとなった。

 

肝心なラグビーはと言うと、サントリー vs ワラタスが行われる数時間前、秩父宮ラグビー場の中では一足先に、東京都のラグビースクールが交流試合を行っていた。参加チーム数は80チーム程度登録しており、グランドを8つに分けての試合をしていた。

小学生にとって、憧れの秩父宮のグランドで試合ができるなんて何て幸せな事だろう。このような機会を設けてくれた「みなとラグビーまつり」の主催者に感謝しなければいけない。「おい。お前ら!もうこの芝に触れないかもしれないから。ゴロゴロしとけ。肌で感じろ!」と指導者達が小学生に価値あるグランドだと言うことを伝えていた。春の秩父宮ラグビー場の芝生は公式戦シーズンとは違いとても綺麗だ。

 

1年生から試合がスタートしたが、その試合を見て驚いた。6歳の男の子が、相手の膝めがけてタックルに入っているのだ。ラグビーを知っている親からしてみればナイスタックルになるだろうが、ラグビーを知らない親からしてみればヒヤヒヤしてしまうプレーだ。

 

更に、1年生と2年生は基本的にパスをしない。うまい選手が1人いれば、その選手が1人でボールを持って前に行き捕まったら倒れて、次のボーキャリアが捕まるまで走る。これを繰り返すのがほとんどだ。パスで繋ぐプレーなど存在しない。

 

ハンドリングスキルがほぼゼロなのだ!

 

これこそ、日本ラグビーの人口が増えない理由の1つではないだろうか。1年生からコンンタクトプレー。特にタックルともなるとラグビーを知らない親は危険というイメージしかない。ラグビーを知っている者から見ても、小学生低学年からの低いタックルは危ないと感じる。集客としては入り口が狭すぎる。ラグビーを知らない親がやらせたいと思うだろうか。。。

 

実際に、ラグビーをやらせたくない理由に「タックは危ない」と言う親御さんは大勢いる。サッカーか野球を選ぶ人が多いのだ。近代ラグビーがプライオリティーをおいているのは、”安全”だ。ハイタックルは退場する可能性が非常に高くなった。更に、ポットアタックなどよりハンドリングスキルが求められるようになった戦術の中では、フォワードのハンドリングスキルは出来て当たり前になってきている。

 

日本には、元日本代表の大八木さんが広めたタグラグビーがあるのに、なぜフル活用しないのだろう。基本的にラグビースクールではタグラグビーを教えることはないため、タグラグビーをやりたい子供はタグラグビーのチームに入る必要がある。多くのタグラグビーチームが日本に存在するのであればいいが数も限られている。

 

スクールでも1、2年生はタグラグビーでハンドリングスキルを磨き、コンタクトがない環境でラグビーをさせた方がい良いのではないか。子供の体を考えても、ラグビー人口増加を目的とした集客とういう観点からも、日本ラグビーのスキルUPのためにも小学生低学年のコンタクトプレーは止めてみてはどうだろうか。

 

ちなみに、近年タグラグビーを小学校時代にやっていた小学生が、中学入学と同時にラグビースクールやラグビー部に入るらしいが、ずば抜けてハンドリングスキルが高く、攻撃の要となる選手が多いとのことだ。一方でコンタクトプレーが嫌いなようだが、自然に身についていくだろう。しかし、磨くとなると一筋縄ではいかないのがハンドリングスキルだ。

 

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