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日本国内において外国人選手の多さに疑問を持つ人が最も多いスポーツが現在の日本ラグビーである。アジア人と外国人の比率を見ると、15人中の8人が外国人という布陣を目にする事もある。 

■外国人選手と日本ラグビーは共に歩んでいる

2018年現在の日本ラグビー界に外国人がいるのは珍しい事ではなくなった。その理由で最も挙げられるものが個人能力において特筆している所である。

 

高校では外国人枠は2人まで。大学では3人まで出場できる。
15人のスターターがいる中でもフィジカルが特筆して強い外国人が2人いるだけで試合への影響力が強い事は、まだまだ体が出来上がっていない学生レベルにとって脅威の存在なのだ。

 

東海大学のテビタ・タタフ(下記画像)やアタアタ・モエアキオラなどは高校時代から圧倒的なパワーを魅せてきた。

大東文化大学のアマト・ファカタヴァとタラウ・ファカタヴァ兄弟は大学から日本に留学しニュージーランドにあるクルセイダーズ(スーパーラグビー)のデベロップメントチームレベルを証明してきた。

 

彼等の活躍が結果を示すように強化策として留学生を入部させる事を議論している伝統校も少なくない。

 

反対に実力はあったがトップレベルまでもう少しだったチームが留学生をスカウトする事例や留学生の爆発力に期待し弱小チームを強化しようとするチームも近年あるのだ。

 

何より日本では彼等の存在なくして世界レベルのラグビーを体感する事はできないのだ。

 

社会人トップリーグでは外国人出場枠が2人、アジア枠で日本以外のアジア出身選手が1人、他国の代表歴の無い選手が1人、最大で4人までの外国人選手が出場できる。

 

更には日本に国籍を帰化している者であれば日本人同様の扱いで何人でも出場できる。これは学生ラグビーも例外ではない。

 

数年前に比べれば外国人選手在籍数は増加しており、社会人トップリーグでは外国人監督が指揮をするのも見慣れるようになった。その影響もあってか外国人選手を起用するチームは少なくない。

 

能力としても異論はないがコミュニケーションができる選手に監督の意図した戦略と戦術を落とし込む為には言語が理解できる選手もチームには必要だ。

 

前監督のエディ・ジョーンズ(現イングランド代表監督)は、英語で十分なコミュニケーション能力とスキルの高さを買って、主将に東芝のマイケル・リーチ、スタンドオフにサントリーの小野晃生といった選手達を起用していた。

 

代表においては、居住年数が3年以上で母国の代表出場歴さえ無ければ他国の代表にもなれるというのがラグビーの代表選出条件だ。それは世界どこでも同じ条件となる。

 

国内のラグビー関係者にとって長年海外勢に支配されていたラグビー環境を打破するべく試行錯誤を「国内」で続けてきたが、世界で勝てる日本ラグビーを実現する為に外国人に対する日本人の劣等感を捨て自らのチームに引き入れる事による強化を選んだのだ。

 

その第一人者として日本代表に外国人選手を多く起用したのが、故・平尾誠二さん。当時は批判もありながら、外国人選手を国内で規定だった2人から5人ほど起用した。
◆平尾誠二
 

現・日本代表監督のジェイミー・ジョセフ監督も平尾ジャパンに選ばれた一人だった。彼等外国人の能力の高さは折り紙つきと日本のファンも知っていたからこそ勝利を期待した。

 

しかし、その布陣でも無勝利という結果で終わるのがワールドカップだ。

外国人を起用した布陣は後に何度か試されたが、気が付けば2015年の前回大会まで20年の間に日本代表は1度しか勝っていなかった。

 

その反動と南アフリカに勝った奇蹟的な勝利がラグビーを見ない人達や日本代表に期待していなかった人達にまで衝撃的なものを与えられたのだ。

↓日本対南アフリカ 

 

ただその一方、外国人の力を借りる事への意識とラグビーをよく知らない世間との意識の差が、どんなにエキサイティングな試合をしようにも一部の情報だけを見る人達からすれば日本代表への後押しに躊躇が生まれてしまうのも事実である。

 

かといって国際大会では日本を代表し世界と闘う為に選抜されたチームであるのに、その世界各国から力を借りて挑む事に疑問を持たれる事は自然な事なのかもしれない。

■他国では外国出身の代表選手を受け入れているのか

来年は待望のラグビーワールドカップ日本大会が開催される。これまでの歴史の中でアジア開催が初めてとなり、ワールドラグビー協会にとってはアジアで成功例を挙げる為の重要な挑戦となる。

 

ラグビーが日本で野球やサッカーのようになるかどうかは定かではないが。ラグビー日本代表を目指したい子供達が増えるような存在となるには、やはり活躍する舞台が注目されなければいけない。

 

その為に必要な条件は「勝利」しかないだろう。

 

2018年World Cup日本代表の初戦、2-1で見事勝利した対コロンビア戦の平均視聴率は50%超えとサッカー人気の高さが目に見えて分かる。

 

勝つ為には選手は重要となるが、上述にも記したように現状の日本人選手だけの構成ではラグビーは世界の強豪とは渡り合えない。

 

しかし日本人の持つ可能性を証明してこそラグビー日本代表でもある。

 

日本が培ったラグビー文化には賛否両論あるが、骨格差や身体能力差から何度も世界の脅威を見せつけられた日本ラグビーが勝つには世界と同じ方法では勝てない。

 

例えばニュージーランドと日本のように途方もないレベルの差を10年と考えると、その10年差を埋めるには理屈では無い選手の力が必要となる。

 

これも一つの戦略なのだ。

 

実は人材問題は日本だけが持っている問題ではない。

 

世界最強と云われるニュージーランドの場合、純潔のニュージーランドマオリばかりでなく、太平洋諸国のフィジー・トンガ・サモアなどといったラグビー文化が根付き身体能力が世界的にも特筆して高いと評される国の選手達が幼少期から移住、または親が既に住んでいた事で国籍がニュージーランドとなる。

 

それによりニュージーランドでは選手層が厚くなり海外からのスカウト対象となる。選手が他国へ流出されれば選手層は薄くなる一方。

 

ニュージーランド代表、通称「オールブラックス」は国民にとって憧れの存在。その代表チームに選ばれるには国内リーグに所属している者のみを起用するという考えをニュージーランドのラグビー協会は示している。

 

ただ選手にとってもオールブラックス以外のラグビーキャリアの道もある。

 

その一つの選択肢に日本を選ぶ選手もいるのだ。

 

幸いラグビーでは条件を満たしていればプロ選手としてだけでなく代表選手にもなれる。これは欧州でも同じ事だ。現にイングランドやアイルランドといった強豪国でもサモア・トンガ・フィジーといった国の選手をスカウトし強化を図っている。

 

これらの身体能力に恵まれた選手達が母国だけでなく強豪国でもレギュラーを勝ち取っているのが世界ラグビーの情勢である。

■外国人と呼ばれプレーする彼等は・・・

海外からくる外国人達の強さは語らずとも理解している者は多いだろう。格闘技をテレビで見ていただけで彼等の圧倒的な存在感は目に付く。

 

彼等はなぜ日本代表になると決めたのか。

 

ワールドカップに出場したい気持ちはあるだろう。経済状況が母国よりも日本の方が豊かであった事実もあったかもしれない。

 

ただ、自分の生まれを離れ友人や家族と離れる決断はいつも容易ではない。家族を養う為、プロとしての収入の一部を家族への恩返しとして送金する者も少なくない。

 

日本の核、アマナキ・レレイ・マフィは世界からも認められている存在となった。スーパーラグビーではベストNo.8の一人として名前が挙がっている程だ。

 

彼の場合、日本の花園大学で陽の目を見なかったが、トップリーグで活躍し一気に日本代表へと駆け上がった。そして日本語も堪能である彼は母国のトンガ代表を断って日本を選んだ。

 

大学時代からお金の無い生活の中、家族へ仕送りもした。

 

彼のようなハングリー精神の男が日本から世界へ名を挙げて活躍しているのだ。

 

そんな彼を見て「外国人だから」、と言葉を投げるようであれば日本は一生外国人と歩み寄る事なんてできないと断言できる。

 

また彼等外国出身者の中に負けを前提で日本代表を選ぶ者はいない。勝負への拘りにおいて日本人以上と感じる場面も多々ある。

 

彼等の方が現在の日本人よりも侍に近い表現ができる程に強い精神を感じる。

 

もしも日本人がオールブラックスの半分を占める事があった時、日本人によって試合に出れない他の選手達の事を日本人のラグビーファンは気遣うか。

 

「なんなだよ、日本人が選ばれたせいでマオリの人が出れないじゃん!」

 

まず、無いだろう。

 

むしろ、世界最高のチームで戦っている事を誇りに感じる。 

 

外国から来る選手達の家族や友人、そして同じラグビー選手達にとっても彼等が異国の地であっても目標を持ち夢を持っている事にネガティブな意見など無い。

 

選手の質が上がる事は日本ラグビーにとってプラスであり結果に直結するが、肝心の日本人が彼等外国出身者に頼ってはいけない。

 

頼り過ぎた采配だけでワールドカップを勝てない事は、平尾前監督やジョン・カーワン前監督(2006年~2011年)で証明されている。

 

それだけワールドカップで勝つ事は容易ではないという事だ。

 

大切なのは外国人の力と日本人本来の力を十分に発揮できる形を成す。その為には彼等を助人外国人と呼ばせるだけのチームにするのではなく、日本人自身がレベルを上げ強くならなければいけない。

 

これはすぐに解決する訳ではない。

 

彼等外国人達と日常で接している筆者にとって、彼等がどんなジャンルでも日本の力になる気持ちは嬉しい。彼等は同じ人間である。彼等にも家族がいる。侵略者として日本に来たのではない。

 

彼等の爆発的なパワーの魅力を正面から受け入れ、日本人にしかできない俊敏性のあるゲームメイクやタックル、チームワークが融合できれば、他にないベストチームができるはずだ。

 

 

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