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球技スポーツでは、浸透しつつある、ビデオ判定。

 

試合中のビデオ判定が何のために行われているのか?本当に必要なツールなのか?このページを、読む事でメリット・デメリットが確認出来る他、TMOに潜む、不公平さが見てくるかもしれない。

 

2014年からトップリーグに導入されたラグビーのTM O(テレビジョンマッチオフィシャル)は、今では、レフェリーが手を四角に描く動作すれば、観客席からは「TMOか。。。」と口にするファンもいるくらい浸透してきている。

 

サッカーでも、ワールドカップ2018で実用化され(サッカーではVAR)、今まで見過ごされていたペナルティエリア内の反則が過去最多にふくれあがっている。

TMOはいつ・どのタイミングで利用されるのか?

ラグビーにおいて、TMOが利用されるのは以下のような状況だ。

 

密集状態での、トライ判定

ゴールライン際での、ごちゃごゃってなってるプレーは、見ている場所によっては、非常に分かり難い。

 

 

ライン際でのトライ判定。

トライか?タッチラインが先か?みたいな時だ。下記の動画ではTMOで確認後、トライが認定されている。

ゴールキックの判定

稀にですが、キックがエッチポールの上を通過してしまうことがある。ポール上の微妙なラインは肉眼では判定しづらい。

 

また、ゴールキックでは、タッチジャッチがしっかりとHポールの下に立ちボールを追いかけ判断するが、ドロップゴールの際は、レフェリーの判断となる。

危険なプレー

ポールに絡む選手同士での危険なプレー(ハイタックルなど)は、すぐにレフェリーが笛を吹いて止めるが、TM Oでは、ポールに直接絡んでいない選手同士の確認が多い。
↓ハイタックル動画

 

わかり易くいえば、日大アメフトのタックルだ。あのプレーは、ボールに絡んでいない選手に対するラフプレーだが超危険なプレーとしてレフェリーが確認をする。

 

プレーが止まったタイミングで「あのプレーは危険なプレーだったよね。」とレフェリーが確認しイエローカード、もしくはレッドカードを出すのだ。

 

↓日大アメフトのレイトタックルを知らない方はこちら

 

 

TMOは上記4項目のようなプレーで、レフェリーの再確認・判断が必要な時に使用される。

TMO導入後の日本ラグビー

このTMOが導入されてから、明らかに増えたのが、レッドカード(退場)の数だろう。ラグビー規則の細かな変更も原因かもしれないがTMO導入前の2013年-14年シーズンは0枚、2017-18は、3枚のレッドガード(退場)が出されている。

 

 

これまでは、「さっきのは危ないプレーしてたからから気をつけてね」で片付けられていたプレーも、がっつりビデオで確認され、そんなプレーが起きていたとは、全く分からなかった観客も、「おー!それはひどい!」とラフプレーに対し熱くなるのだ。

 

 

そしてもう1つファンが熱くなるのは、トライを判定するシーンだろう。トライしていないのにトライになってしまったり、せっかくトライしたのに、選手が重なりボールが見えないために、ノートライになってしまっては、選手を、応援しているファンもテンションが下がってしまう。

 

ラグビーは分かりにくい!

 

とラグビーを、あまり知らない人がよく口にするが、正にポールはよく見えないし、選手が何をやっているのか分からないは、TMOが無い時代のラグビー観戦における懸念点でもあったのだ。

 

そのような観客の不満を解消してくれるこのTMOは、導入は正解だったのだろう。「あの判定は何なんだよー!しっかり見てくれよー!」と言う不満の声も少なくなったのかもしれない。

 

しかし、一方で、TMO不要論も聞こえてくるのが事実だ。

 

一番多い意見は、「時間が勿体無い」だ。ビデオ判定は短くても2分、3分は確認するため、その試合で、5回TMO確認が入れば、15分待たされる事になる。

 

TMOでの確認が増えれば、試合時間も長くなり、「試合終了まで、見ることができなかった!」と言うファンも出てくるのだ!

 

そもそも、究極を言えばレフェリングがしっかりしていれば、TMOなど不要なのだ。

 

その場その場、的確な判断をレフェリングしていれば、試合を止めて確認する時間は無くなる。見ているファンにとっては不要な時間なのかもしれない。じっくりTMOで確認したいマニアの方がいれば話は別だろうが。

 

また、レフェリング力の低下にも繋がる可能性もあるとの声も多い。そのような声も懸念しての導入だから、実際に、TMOがあるからレフェリー採用基準が緩くなるなんて事はないだろう。

 

しかし、事実、分からなければ、TMOに判断を委ねる事が出来るのだ。

 

では、選手にとってはどうだろうか?

 

良い流れで攻撃していたチーム、「おい!ふざけんじゃねー。今の流れを止まるんじゃねー!」と思ってしまうでしょうか。

 

それとも、「よし、少し休めるぞ。この時間でしっかり話し合おう。」とナイスレフェリー感のほうが強いのでしょうか。

 

シチュエーションにより変わるでしょうが、後者の意見の方が多いかもしれません。特に常に走り回り、スクラムで体を張るフォワードの選手は、この休息のチャンスを大事にします。

 

そもそも、このビデオ判定は、見ているファンのためのものなのか?
それとも、選手のためのものなのか?レフェリーのためのものなのか?

 

TMOが何のために導入されたのか、トップリーグで初めて導入された際に、以下のように示されている。

 

世界で勝つための競技力向上や、ファンの皆様にラグビー観戦をわかりやすく楽しんでいただけるための施策を積極的に実施して参ります。

 

わかり易く楽しんでいただける。。。

 

この一文だけを抜粋すると、なぜ、今のプレーが反則なのか?なぜトライではないのか?ファンが疑問に思ったプレーやレフェリーの判定に対して、ファンが納得しラグビーを楽しく見れるための施策だと捉える事が出来る。

 

ビデオ判定はある程度の時間が必要になる。試合時間が伸びてしまうのはファンがさらにラグビーを楽しむためには、仕方のない事なのだ。

 

 

しかし、今のTMOの使い方は本当にファンのためになっているのだろうか?どういう事かというと、TMOの判断は、レフェリーが決める事になっている。

 

極端に言えば、トライライン上での際どいプレーも、チームの好き嫌いで、TMOをやるかやらないか決める事が出来るのだ。

 

つまり、ファンが楽しく分かりやすく観戦するためのTMOが、何のためのTMOなのか分からなくなってしまう。

 

あまりイメージがわかない人のために、事例を出してみよう。

TMOをファンが要求した事例

2018.10.20に行われた、サントリー対日野の試合でのプレーです。
この試合のレフェリーは梶原晃久さん、アシスタントレフェリーは川原佑 さん/ 山本哲士さん / 伊藤周祐さんの3人。

 

後半14分

点数は、29対7でサントリーがリー日野のウイング フルバック カカのナイスパスからウイング小澤が抜け出す。

 

トライライン手前でサントリーのスクラムハーフ マットルーカスにタックルされるも、再び立ち上がりゴールライン目掛け突進する。

 

最後はゴールライン前で密集となり、ノートライと判断されたのだ。

 

実はこのシーン、バックスタンド側からは、トライラインを越えた楕円球のボールがはっきりと見えていたのだ。レフェリーからは絶対に見えない位置でボールがトライラインを越えたのだ。

 

しかし、TMOで確認される事はなかった。

 

そのため、バックスタンド側からは、「入ってんじゃねーか!どこみてんだよ!何で、TMOで確認しないんだ!」と罵声が飛びまくったのだ。

 

つまり、ファンがラグビーをもっと楽しみたいからTMOで白黒はっきりさせてくれと要求したのだ。(本来であれば、トライと判定されるプレーだがレフェリーに見えてなかったのなら仕方がない、TMOで確認すればいいと。)

 

しかし、秩父宮の液晶ビジョンには、マニフレックスの画像は映し出される事はなかった。

 

日野としても、連続トライで勢い付けたかった時間帯だけにこのレフェリングは痛かった!

 

しかし、あれほどまでに、観客から罵声を浴びながらも、レフェリーが見る必要は無いと判断したのは何故だろう。。。

 

タッチジャッチがボールに追いついていたわけでは無い。ましてや、レフェリーにはボールは見えておらず、完全に想定でのレフェリングだった。

 

 

ちなみに、この試合、TMOで確認されてシンビン(10分間一時退場)になった選手は2人、しかも、2人とも日野の選手だ。

 

こうなってしまうと、何のための、誰のための、TMOなのか、分からなくなってしまう。上記のようなことが起きてしまうと、ファンのためのルールとは考え難い。表向きはそうかもしれないが、そうなっていない。

 

レフェリーの判断が間違っていないかを確認するかしないかは、レフェリーの判断なのだから。

 

上記のように、まだまだ課題はたくさん出てきそうなTMO(テレビジョンマッチオフィシャル)。サッカーや野球と比べ一試合平均5000人に満たない、ラグビー観客数をどこまで増やすかは、ラグビーに関わる全ての人の価値で変わってくる。

 

TMOは何のために導入したのか?その目的を達成するために、上手く機能しているのか?

 

今まで以上に、ファンの視点で振り返りを行う必要がありそうだ。

 

以上、最後まで読んで頂きありがとうございます。

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