2019年ラグビーワールドカップ 南アフリカ代表は2007年第6回大会以来の決勝進出を決めた。準決勝のウェールズ戦を含めた平均失点は9点とディフェンス能力の高さを見せつけての決勝進出となった。
この南アフリカのディフェンスに欠かせない選手が存在する。それは、9番スクラムハーフのファン・デクラークだ。日本戦では、プレイヤーオブザマッチにも選ばれている。
172㎝ 80kgと小柄な体格だが、デクラークのディフェンス能力はその体からは想像つかないくらい素晴らしいモノを持っている。日本戦では、前半早々に日本の№8姫野にタックルを決めたのを皮切りに、幾度となく日本の攻撃を止めるタックルを見せてくれた。
デクラークのディフェンスの凄さは、1試合を通して、ユーティリティーなディフェンスをする事が出来る事だ。正に、このデクラークのディフェンスこそ近代ラグビーにおけるディフェンスの最高傑作なのかもしれない。
ほとんどのチームにおけるスクラムハーフのディフェンスの役割は、ラックやモール周辺をパトロールする事、アタックラインにディフェンスを仕掛けるとしても、ラック近くからプレッシャーをかけに行くのがほとんどだ。↓南アフリカラインアウトモール
しかし、デクラークは違う。ラックサイドに立ちはだかり、自分より20㎝以上高い男達をタックルで倒すのはもちろ、フルバックの位置、ウイングの位置、そしてセンターの位置にポジショニングする事もある。
そして、何よりどのポジションを相手にしても、持ち味の鋭いタックルを決める事が出来るのだ。まさに南アフリカにはフォワード第3列が4人いるようなものだ。
自由に動けるスクラムハーフが、フランカー並みのタックル能力を持ちグランを自由に走り回っているのだからチームのディフェンス能力は高い。
バッキングディフェンスへの読みも早い。味方バックスのディフェンスラインも思いっきりラインを押し上げる事が出来るのもデクラークのディフェンスがあるからかもしれない。
「このスペースもデクラークが見るのかよ!」と驚いたのは前半38分 日本陣地10mと22mの間でのスクラムだった。バックスの人数が優勢の日本代表が左オープンにパスを回したプレー。なんと、下記画像で★付近でタックルを決めるのは9番デクラークだった。
スクラムで9番流にプレッシャーをかけながら、ボールが出たと同時にオープンフランカーのような素早いコース取りでインサイド抑え、日本の13番ラファエレがステップを踏み、南アフリカ10番ハンドレ・ポーレターをステップでズラしたところで9番デフラークがタックルで止めたのだ。
スクラムハーフでありながら、1人で何人分の仕事をしているのだろうか。このディフェンスの仕事量には時に相手から攻める気力を奪うタックルも持ち備えている。
デクラークは日本戦でしつこいディフェンスにより相手の嫌がるプレーを何度も何度も、繰り返し繰り返し行った。日本戦では、パスする瞬間に入るタックルを9番流や10番田村のコンピに幾度となく決めている。
パスする事が分かっているのに、あえてタックルに入り一度、9番流や10番田村を地面に仰向けにする事を選んでいた。このプレッシャーにより、相手の体にダメージをあたえ次のプレーへの参加に遅れさせる事が出来るのだ。
相手の体力が消耗するのは勿論だが、自分の体力も消耗する。しかしデクラークには関係ない。常に相手にプレッシャーを与え続ける勇敢なタックラーなのだ。
↓ファン・デクラーク
↓日本対南アフリカ ハイライト