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ラグビーをあまり知らない人達からは、「怖くないの?」「痛くないの?」という疑問を耳にする事がある。

 

ラグビー選手も人間である以上、はっきり言って怖いし、痛い。自分より大きい相手にタックルに行く時はそりゃ当然恐怖感は有るし、骨折すれば当然痛いだろうし、スパイクのポイントで頭を蹴られてしまった時などは当然血が出る。

 

しかも、スパイクが当たった怪我は、深い傷を負うことになる。

 

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It’s just a flesh wound. Tape me up and play on!! 🤕 #RugbyInjury

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昔は交代出来なかった?

ワールドカップも既に9回を数え、外国人選手がトライの後や試合後に感情を爆発させて喜ぶ姿が一般的になってきた現代ラグビーにおいてはなかなか想像しづらい事であるが、かつての日本ラグビーにおいては「喜ぶ事」「痛がる事」は厳禁とされてきた。

 

かつてはいわゆる交代枠というものが認められず、プレイヤーが大怪我を負ってプレー続行不可能と見なされた場合のみ、交代が許されるルールだった。今では全くもって信じられない話しだが。

 

昨年のワールドカップ日本開催で有名になった「one team」という言葉、これはリザーブやスタッフも含めての「one team」だった訳だが、かつての日本ラグビーにおいては背番号1番から15番、つまりフィールドにスターターとして立つ選手のみが本当の意味での「one team」だった。

 

16番以降のリザーブの選手達はスターターが大怪我をしない限りグラウンドに立つチャンスはほぼ皆無であったからである。

 

現代ラグビーにおいてはリザーブに良い選手を残して置き、残り時間を見て戦略的に投入という戦術が許されているが、かつてのラグビーではそのような事は許されていなかった。

 

つまり、チームで最も技術が高く闘争心が旺盛な15人がスターターとしてグラウンドに立ち、万が一スターターが大怪我をしてリザーブに代わる場合、それは即ち戦力ダウンを意味していたのである。

 

スターターの15人にとって、大怪我をしてリザーブに代わるという事はそのまま「チームに迷惑を掛けてしまう」事を意味しており、チームに迷惑を掛けるぐらいなら、多少の痛みには目を瞑ってプレーを続けよう、そう思う選手が大半だったように思う。

 

また、一度怪我を負ってその治療が長引くと今度は「試合に出られない」という恐怖に襲われた事だろう。

 

文字通り怪我が治らなくて試合に出られない場合、もしくは怪我をしている間にリザーブが力をつけてきてレギュラーを取られてしまう場合、両方の意味で。

怪我よりも怖いモノ

ラグビーをやっている以上、いやあらゆる団体スポーツをやっている選手にとって「レギュラーとして試合に出たい。出続けたい」という願望は至極当たり前の事。

 

まして一度でもレギュラーとして試合に出た選手ならば「出続けたい」という思いはより一層強いはずだ。

 

怪我を負うという事は、「チームに迷惑を掛けてしまう」「レギュラーから落とされる」という感情により、ラグビー選手にとって最も大きな恐怖の一つでは無いかと思われる。

 

ただし。

 

実際の試合中においては、実は「怪我に対する恐怖」より更に大きな恐怖と戦っている訳で、「怪我をする事」に対する恐怖心は殆ど心から消えているプレーヤーが殆どでは無いだろうか。

 

更に大きな恐怖とは、「負ける事」に対する恐怖である。

 

怪我を恐れて勇敢なプレーが出来ず結果チームが負けてしまう事、これに勝る屈辱は無い。

 

正々堂々と真っ向から挑み、80分間勇気の限りを振り絞って戦った結果の敗北であれば受け入れられるが、臆病なプレーを繰り返しての敗北はラガーマンとして決して受け入れられる事ではないはず。

 

ラグビーをやっている、もしくはやっていた人に「怪我は怖くないの?」と質問した場合、「そりゃ怖いに決まってる」と大半の人が答える事だろう。そして、大半の人が例え口に出して言わなくても「でもね」と思っている事だろう。

 

「負ける事と比べたら、怪我なんか怖くも苦しくも痛くもない」と。

 

 

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