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このページではトップリーグ2021シーズンで日本のラグビーファンを楽しませてくれる外国人選手について紹介したい。

 

現代ラグビーにおいて、有名選手に会いたい場合、ラグビー留学するより日本で生活していた方が良いかもしれない。

ボーデンバレットのココが凄い!

NZ代表ボーデン・バレット。ポジションはスタンドオフ/フルバックなどを務める。

「世界最高のラガーマン」といっても決して過言ではないプレイヤーがサントリーに入団する。

 

キック、ラン、パス。どれを取っても非の打ち所が無い。バレットこそが正真正銘の「天才」であると言い切ってしまっても、恐らくさほど反対意見は出ないのでは無いだろうか。

 

キックにおいては正確無比なプレースキック能力を持ってるだけでなく、ドロップゴールも上手い。相手の裏に落とす、いわゆるショートパントも絶妙である。

 

バレットが蹴ったショートパントは、バウンドをした後に魔法のようにバレットの胸元に戻ってくる事が多い。マジックを見ているかのような気持ちにさえなってしまう。

 

 

足も速い。「世界最速」との声もある。しかも、ただ早いだけでなくチェンジオブペース(走る速度に緩急をつける事)や切り返し(走る方向を急に変える事)も非凡過ぎる才能を持っている為、手に負えない。

 

バレットのランはトップスピードに乗るまでの早さが尋常ではないのだ。走り出しからわずか2~3歩でトップスピードに乗ってしまう。

 

この「トップスピードに乗るスピード」の異常なほどの早さが、バレットのチェンジオブペースを支えている。速度を落として走って相手を引き付け、一瞬でトップスピードに乗ってあっという間に抜き去ってしまう。

 

バレットの速い足はディフェンス時も大いに威力を発揮する。
相手に抜かれて「もうダメだ」と思っても、トライ直前で相手を捕らえ、引きずり倒してトライを防ぐという場面が多いのだ。

 

しかし、バレットのプレーで最も魅力的なプレーは、そのパスプレーだろう。自らボールを持ち込んでプレーする事も、もちろん100点満点と言っていいバレットだが、パスプレーで廻りを生かす事に関しても非凡な才能を持っているのだ。全く、これほどのマルチツールプレイヤーは見た事が無い。

 

通常のいわゆるスクリューパスも速く正確なのだが、バレットはトリッキーなパスを得意としている。

 

後ろにいる味方にノールックのバックフリップパス(手首だけでパスする事)を多用するばかりか、股の間からボールを遠くに飛ばす、いわゆる「股抜きパス」も随所で使う。しかも、そのパスがまた正確なのだ。

 

バレットのパスプレーはその高い戦術眼や視野の広さの賜物なのだが、それ以上にラグビーを「楽しむ」事と「自由な発想」にあるのではと思える。

 

そう、バレットの真骨頂とは、まるで「子供の遊び」のように自由奔放にラグビーを楽しむ事にあるのではないだろうか。

 

ラグビーを漢字で書くとき、「楽苦美」という当て字をする事がある。バレットこそ、この当て字に最も相応しいラガーマンなのである。

 

「苦」の文字だけはバレットのプレーになかなか当てはまらないが、ラグビーを心底「楽」しみ、その「美」しいプレーで観客を魅了する。

 

希代のマルチツールプレイヤー、このボーデン・バレットがトップリーグにお目見えする日が待ち遠しくてならない。

 

ファンの中に、ボーデンバレットをリスペクトしている人もいるだろう。最後に高性能キックを生み出しているボーデン・バレットが使用しているスパイクについて紹介したい。

 

◆アディダスプレデターコントロール

素晴らしいキックコントロール、抜群のフィット感と安定性、アウトソールは、迅速なスタートとストップのための作りとなっている

マイケル・フーパーのココが凄い!

開幕まであと3ヶ月あまりとなった2021シーズンのトップリーグ。そのトップリーグにまた1人、レジェンドプレイヤーの参戦が確定となった。トヨタに合流するマイケル・フーパーである。

 

マイケル・フーパー。

 

強豪オーストラリア代表・ワラビーズの主将を務め、代表キャップは99(2020年10月11日のプレディスローカップ第1戦のNZ戦で100キャップに到達の見込み)。28歳。ポジションはFWの花形、フランカーである。

 

身長は182cm体重101kgと大型化が目覚しい近代ラグビーのFWとしては、「小柄」と言ってもいい部類に入る。

 

ワラビーズでは22歳から主将を務め、これは同国代表主将としては史上2番目に若い記録である。類まれなるリーダーシップを周囲に認められた結果であろう。

 

小柄と言っていい体格ではあるが、当然の事ながらその肉体は鍛えに鍛え抜かれており、特に首から肩にかけての筋肉の盛り上がりは凄まじい。

 

首の太さなどは、顔の幅より太いのではないかと思わせる程である。

 

この鍛え抜かれた身体に、どこかあどけなさの残る顔を乗せ、やや長めの金髪をなびかせて疾走する様はギリシア神話における力の象徴・ヘラクレスを想像させる。

 

名選手揃いのフランカーの系譜通り、フーパーもまた優れたスキルを持っている。グラウンドのどこにでも顔を出す豊富な運動量。

 

2019W杯日本代表・姫野和樹の代名詞として有名になったジャッカルの名手でもある。突破力・推進力にも優れ、ランスキルも高い。

 

だが、フーパーのスキルで特筆すべきものと言ったら、やはりタックル、という事になるだろう。

 

俗にラグビーの世界では「小さいフランカーの方が怖い」と言われる事がある。

 

明確な理由は定かではないが、想像するに「小さいフランカー」は体格のハンデを乗り越えて生き残る為に、タックルに活路を見出すからではないだろうか。

 

タックルは「低い姿勢で入る」事を基礎としており、当然大型のプレイヤーより小型のプレイヤーの方が低い姿勢は取りやすい。

 

フーパーのタックルは凄まじい。「タックルの申し子」と言っても過言ではない。勢いあまって空中のプレイヤーにタックルしてしまい、イエローカードを貰ってしまう事もしばしばである。

 

特筆すべきはそのパックの強さであろう。パックとは、タックルに入った瞬間に両腕で相手の足をホールドし、手前に引く事を言う。

 

ーパーのタックルは、足を止めること無く前への推進力をキープしつつ、しっかりとしたパックで相手の足を手前に引くのである。俗に言う「刈る」という行為である。

 

ただでさえ前への推進力が強い上に、強いパックで足を「刈られた」ら、相手はひとたまりも無い。

 

もんどりうって倒れるだけである。基本に忠実に「押しながら、引く」が完璧に出来ているからこそ出来る技だ。

 

身体の大きさのハンデをものともせず、鍛え上げられた肉体から放たれる基本に忠実なド派手なタックル。フーパーのプレーは「ラグビーの真髄」をまざまざと見せつけてくれるのだ。

マピンピのココが凄い!

2019年ラグビーワールドカップにおける優勝チーム・南アフリカ代表スプリングボックス。

 

最も目立ったプレイヤーと言えば金髪ロン毛のスクラムハーフ、ファフ・デクラークである事に異論を挟む方は居ないだろうが、デクラークに負けずとも劣らずの活躍を見せてくれたのが両ウィングである。

 

“ポケットロケット”の異名を持つ170cmの小柄なウィング、チェスリン・コルビ。このコルビとコンビを組む逆サイドのウィング、それがNTTドコモに入団するマカゾレ・マピンピである。

 

“ポケットロケット”コルビとは対照的に、187cmとバックスとしては大柄である。体重は90kgとさほど重くはなく、非常に均整のとれたスタイルであり、見るからに「全身バネ」を想起させる黒人プレイヤーである。

 

余談ながら、2019年W杯における南アフリカ代表は史上始めて黒人プレイヤーであるシヤ・コリシが主将を務めた。

 

南アフリカは第1回第2回のW杯には出場していない。人種差別政策アパルトヘイトを実施していたからである。

 

アパルトヘイト政策を取りやめ、第3回W杯を自国で開催し見事初出場初優勝、この大会は映画「インビクタス」にもなった有名なエピソードである。

 

第3回W杯南アフリカ代表における黒人プレイヤーはチェスター・ウィリアムズ氏ただ1人。そこから思えば隔世の感がある。

 

改めて、この才能豊かなプレイヤー達が世に出るきっかけを作ってくれた故ネルソン・マンデラ元大統領に敬意を表したい。

 

なお、チェスター・ウィリアムズ氏は2019年9月に49歳の若さでこの世を去った。

 

彼が切り開いた道をマピンピやコリシといった後輩達が邁進し、2019年のW杯で優勝という大輪の花を咲かせた姿を見る事なくこの世を去ったという事は、残念という他ない。

 

ただただウィリアムズ氏の冥福を祈るばかりである。

 

さて、マピンピである。マピンピの特徴は何と言ってもそのランにある。

 

均整の取れた肉体、足首まできっちり折り畳まれたソックス、「しなやか」という形容詞がぴったりくるスタイル。

 

そのスタイルから大きなストライドで疾走する姿は美しいという他ない。

 

マピンピのランは、がむしゃらにグラウンドを走り回るというよりは、どこか飄々と(本人は全くそのつもりは無いだろうが)しており、トライへの最短コースをクレバーに走り抜けていくイメージがある。

 

90kgと決して重くない体重だが、相手を弾き飛ばすというよりは、絶妙にコンタクトポイントを「ズラして」抜いていくイメージが強い。

 

ボディバランスが事のほか優れている走りであると言えよう。

 

マピンピは2019年W杯で6トライを上げ、トライ数2位に輝いた。
決勝でも先制のトライを上げている。実はこのトライ、W杯決勝における南アフリカ初のトライでもある。

 

左サイドでボールを受け取ったマピンピは右足で相手背後にショートパントを上げる。このショートパントがCTBルカニョ・アムの胸に入り、アムから折り返しのパスを受けたマピンピがそのままインゴールまで駆け抜けてトライ。

 

この「W杯決勝における南アフリカ初のトライ」にも表れているとおり、マピンピのランの凄みとは「取り切れる時に、必ず取る」「“取りたい”と思った時に、必ず取る」というなのかも知れない。

 

「トライ確実」と思われる場面でハンドリングミス等を犯してしまい、トライを取り切れない場面はラグビーの試合において時に遭遇する場面なのだが、ことマピンピに関してはそれが「皆無」と言って良いのだ。

 

決して派手さは無いものの、「よし、トライだ」と味方が思った場面では確実に着実にトライに結びつける。

 

マピンピの本領とは、「しなやかで飄々とした仕事人」なのかも知れない。

 

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