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ラグビー帝京大学は何故強い?9連覇は必然なのか。

 

大学ラグビー界における、優勝を連覇した大学の記録は、

3連覇を成し遂げたのが、1982年~1984年 同志社大学の1校のみ。 天才スタンドオフ 平尾誠二が率いた時代だ。そして、2連覇を成し遂げたのが、対抗戦では明大・早大の2校、リーグ戦では関東学院大学・大東大の2校。

 

これまでは、大学選手権3連覇の壁が非常に高く厚いとされていたが、2018年1月7日、またしても大記録が更新された。

 

ラグビー全国大学選手権の9連覇。

 

試合を見ていない方も、バックスタンドが赤で揺れた9連覇の歴史的瞬間を一度確認して欲しい。

 

恐らく今後現れる事は滅多にない大記録だ。勝ち抜く為の戦力、戦略、哲学を用いて初めて到達する偉業だろう。

大偉業と言われた社会人ラグビー 新日鉄釜石の日本選手権7連覇を超える大大偉業。

 

まず大学ラグビーは名前の通り学生のスポーツだ。

 

毎年選手の入れ替わりがある中、戦力や特徴は様々な中で帝京大学は9年連続優勝をしているのだ。ちなみに初優勝の前年度は準優勝。着実に力を付け周囲からも認められた存在になっている。

 

今でこそ帝京ラグビーは周囲からもその強さを認められた存在になるが、大学ラグビー界には元々帝京大学ラグビーよりも歴史があり未だに人気の衰えない伝統校が存在する。

 

その年の強さに関係なく観客動員数や注目度では圧倒的な指数を誇るその伝統校は早稲田、慶應、明治。いわゆる早慶明だ。

 

先日こそ明治大学が19年ぶりの決勝に進出し1点差まで帝京大学を追い込む大熱戦を繰り広げたが、10年連続決勝の舞台で勝ち続ける帝京大学のメンタルの強さはこれをも撥ね退けた。

 

一体、帝京大学はいかに強くなったのか。

そこには大学ラグビー界の文化を変える挑戦があった、

 

今回、その帝京大学の連覇を支える好循環となる要素をお伝えしたい。


https://www.jsports.co.jp/press/article/N2018010909400803.html
 

 

■好循環~肉体強化~

ラグビーといえばコンタクトスポーツ、大柄な男達が体をぶつけ合うイメージできる。

 

現代の大学ラグビーにおいて帝京大学がフィジカル面で他校より一歩先を行っており、その次に優勝候補として挙がるのは東海大学だ。東海大学も帝京大学同様にフィジカル強化に余念が無い。

 

この2校を中心に大学ラグビーは変化してきている。

 

フィジカル強化を重点に置きトレーニングプログラムを組む傾向が大学ラグビー界に高まっており、優勝から遠ざかる伝統校を含む他校もフィジカル強化に余念が無くなってきているのも事実だ。

 

強化を一足先に始めたのも帝京大学だ。それは現在の帝京大学にとって幹となる大切なモノだ。

 

フィジカルを作る為に不可欠なのは適正な栄養摂取だ。寮の食事は栄養士が一日の摂取カロリーを設定しその量は成人男性の倍以上、計算された食事は朝昼晩を含み1日6回もある。

 

トレーニング面ではS&C(ストレングス&コンディショニング)の専属コーチが選手の筋力向上を図り栄養士とタッグを組みながら最適なメニューを考える。

 

沢山食べれば体は大きくなるが、ラグビーでは80分間走り回りコンタクトプレーをしなければいけない為、ただの筋肉増量では何も効果を得られずパフォーマンスの向上にも繋がらないのだ。

 

帝京大学が目指している強靭なフィジカルは相手に負けない強さだけではなく、フィットネスも落とさない運動量や俊敏性も兼ねたラグビー選手

 

このような強化は決してラグビー部が単独で成し得たものではない。

 

大学側のサポートで日野市に人工芝のグラウンドを造り、クラブハウスを建てトレーニングジムも隣接させ充実した環境を整えた。

 

帝京大学躍進の代名詞であるフィジカル強化は様々な環境改善を経て成り立った成功例なのだ。

 

現在、社会人トップリーグに所属する帝京大学出身選手への評価は「トップリーグ選手と遜色ないフィジカル」「即戦力として十分通用する」といった評価ばかりだ。

 

また、帝京大学特有とも言っていいのが医学部との連携による選手の体調管理だ。

 

血液検査を始めとした医学的な目線から選手の体調を管理し、毎日の体調から選手のパフォーマンスも数値化し選手自身の意識の高さにも繋げる事ができている。

■好循環~勝負を決める選手の確保~

 

帝京大学ラグビー部に所属する選手達は高校時代から有名だった選手から無名だった選手まで異なる経歴を持つ選手が多く所属する。

 

常識を覆してきた帝京大学の躍進はやはり選手達の確保も非常に関わっている。

 

例えば帝京大学のラグビー部OBのスタンドオフ松田力也(パナソニック/日本代表)1年生からレギュラーで出場し4年間大学選手権不敗の中心選手。

 

彼は京都・伏見工業(現・京都工学院)時代から大注目されてきたエース格。そのような選手を欲しがる大学は多くいたが、彼が選んだのは当時大学3連覇中の帝京大学だった。

 

大黒柱ともいえる有能な司令塔が入った帝京大学。更には彼と同学年だったロック姫野和樹(トヨタ自動車・主将/日本代表)、フランカー飯野晃司(サントリー)、センター重一生(神戸製鋼)、4年時の主将フランカー亀井亮依(NEC)など現在トップリーグのレギュラーで活躍している猛者達が入部しチームは更に競争力を増した。

 

しかし、そんな世代でもレギュラーが確約されていた訳ではない。

 

常に新しい学年の新たな戦力がレギュラーの座を虎視眈々(こしたんたん)と奪いにくる。

その競争力は正に日本一に相応しいと言える。

 

また帝京大学には無名の選手も多く所属し、素晴らしい活躍を見せてくれる。その活躍の原動力こそ、弛まぬ努力と地道に鍛え上げられた上述の肉体強化に他ならない。

 

無名と言っても各地域で県代表や地方代表など、あと一歩で高校日本代表候補だった選手も多々いるのだ。ブランドでは早慶明に劣るかもしれないが、帝京大学が築いている文化や実績が好循環を作り、高校生達の志向を変えたのだ。

 

そしてもう一つ帝京大学を支える選手達。それは外国人留学生の存在だ。帝京大学はニュージーランドから留学生を勧誘している。

 

何人ものニュージーランド出身選手が帝京大学で現在、不動のナンバーエイトを務めるブロディ・マクカランは歴代の帝京大学出身の留学生達の中でも抜群の安定感がある。

 

日本でラグビーをする留学生達は骨格や身体能力が日本人選手とい違い1人いるかいないかだけで戦力に影響が出る。その為、日本では規定上外国籍出身の選手は2人までと決まっている。

 

だからこそ、突破力のある外国人をスカウトする大学が少なくないが、マクカラン選手は高いラグビーセンスから発揮される危機管理能力や柔軟な状況判断力が武器だ。

 

帝京大学の日本人選手は上述の通り強靭なフィジカルで前に出る力がある選手ばかりだ。そこにボールキャリーの多いナンバーエイトのマクカラン選手が絶妙なプレーで日本人選手達を活かしトライを演出するのだ。

 

環境も必要だが、各ポジションにレベルの高い選手が配置でき、スペシャリストと呼ばれるポジションの選手達を確保できている事も好循環を生み連覇の要因になっている事に間違いない。

■好循環~自主性~

同ラグビー部の岩出雅之監督は選手の成長について以下の通り話している。

 

「成長する為には考えさせないといけない。こう考えろではなく本人が考えたい事をうまく経験させていく」

 

この言葉にあるように、帝京大学ラグビー部ではある取組がされている。

 

一つ目は、脱・体育会系だ。

 

体育会系といえばありがちな上下関係。上級生が下級生に指示し、下級生は洗濯や掃除を率先していく事が日本の文化には長く根付いてきたが、帝京大学はそこを変えている。

 

上級生が掃除・洗濯を率先して行い、それを見る下級生が自分自身でその姿から学ぶ。

 

下級生だった現在の上級生達は卒業してきた先輩達の姿を見て自ら学び自ら成長したい気持を養うのだ。その文化は下級生が上級生になった時に明確に自分達のやる事を決める事ができる。誰かに言われてやるのではなく、自分達の考えに基づき自分達で判断し行動する。

 

これは正しく自主性にあたる。

 

若い頃から社会人手前の大学生の頃には様々な心の変化ができ決して理想通りの人間になる事ばかりではないが、岩出監督は選手達が大学を卒業し学生時代よりも長い社会人生活を強く生きる為には、自分達で考え自分達で解決する力と経験が必要だと考えたのだ。

 

それは普段の練習にも現れている。

 

例えば帝京大学ラグビー部の練習は激しい練習の中で、特筆して拘っている時間がある。

 

それはチームトークだ。

 

100人も超える大所帯では一つのミーティングをするだけで指導者は力が必要だ。何より、100人もいる中だ。自らの考えを主張できない選手が多くなるのも当然だ。

 

帝京大学ラグビー部は、岩出監督がチームトークを指示する時、3,4人のグループを作り様々な話し合いをする。

 

一体何が悪かったのか、何が原因だったか、どうすれば改善するのか、誰が何をするか、といった会話をし、自主性を高めている。

 

スポーツを通じて人間を成長させるやり方に正解はない。

 

しかし、このチームトークの良さは日本の企業内でも改善できる良い改善案とも言える。発言できないミーティングに参加して何の意味がある?と、日本の企業で働いている昨今の欧米人からよく聞く事がある。

 

参加する事に意義がある。というものを信じて参加した結果、できる事は客観的な意見を持つだけだ。

 

たとえ冷静な判断力を養えると言っても、戦場での判断と安全な場所で判断するとでは、質があまりにも違い過ぎる。

 

グラウンドで闘うのは選手達だ。コーチ陣が何を説こうと選手達が主役なのだ。

 

グラウンドで正しい判断をできる事、その判断力を発揮する事こそ、自主性に繋がり自信を養う事にも繋がるのだ。

■最後に

毎年優勝候補筆頭と言われ結果を出してきた帝京大学ラグビー部だが、他大学の追随も容易撥ね退けられるようなものではない。

 

東海大学や大東文化大学を始めとする強力な留学生やレベルの高い日本人選手がいるチームに加え、東西の伝統校である早慶明や同志社、京都産業大学、ここ数年一気に力を上げ関西王者に君臨している天理大学を含むライバル達は常に帝京大学を倒そうとしている。

 

追う側から追われる側になり既に10年が経とうとしている。

 

10連覇まであと1回の優勝が掛かっている2018年。伝統校の復活を待ち望んでいるファンも多いところかもしれないが、新しい歴史の瞬間を是非目撃したいところだ。

 

10連覇を達成すれば、あの世界王者と肩を並べる事になる。キングのニックネームで愛される体操世界王者の内村航平だ。

 

日本ラグビーのレベルとは違い、国内では負けなしの10連覇を達成している内村は世界一なのだ。

 

しかし、この内村の大偉業を鑑みると、帝京大学が10連覇を達成すれば世界と戦える、いや、世界一を狙えるチームなのかもしれない。

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