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神戸製鋼の注目選手 トップリーグ2021

2018シーズン、神戸製鋼は実に18シーズン振りに日本一に返り咲いた。その前の優勝は2000シーズン、この年はサントリーと史上初の両チーム優勝(27-27のタイスコア)だったので、単独での優勝となるとその前年、1999シーズンまで遡る事になる。

 

神戸製鋼といえば、日本選手権7連覇を含めトップリーグ参加チームで歴代最多となる10回の優勝を誇る名門中の名門である。

 

平尾誠司。大八木淳史。大西一平。イアン・ウイリアムスと数多くのレジェンドが在籍した正に「スター軍団」であった。2000シーズンから久々の優勝となる2018シーズンまでの間はサントリーに押され、すっかりかつての「常勝軍団」のイメージから遠ざかってしまった。

 

その神戸製鋼を久々に優勝に導いた原動力の一人、中島イシレリ。今シーズンの神戸製鋼は彼のプレーに期待したい。

中島イシレリは2019W杯にも日本代表として出場している。日本代表ではプロップを務めるが、2018シーズンの日本選手権決勝ではNo.8として出場している。

 

2019W杯では第一列の「ジョーカー」的存在として活躍。勝負所で疲れの見え始めたプロップ陣と交代、サモア戦では終盤スクラムを押し勝つ立役者の一人となり、4本目のトライを演出する等、日本初のベスト8入りに大いに貢献した。

 

イシレリはトンガ出身。18歳で単身来日、流通経済大学で日本ラグビー界でのキャリアをスタートさせる。大学卒業後はNECに入り、トップリーガーとしてデビュー。2015年から神戸製鋼に合流、同年に日本に帰化もしている。

 

2019W杯では髪と髭を金髪に染め、その風貌がダウンタウンの松本人志さんにそっくりという事で話題をさらった。ちなみに本人曰く、髪と髭を金髪に染めたのは別に松本人志さんに寄せようとした訳ではなく、「リュウケイ(母校の流通経済大学)の色だから」とコメントしている。

 

狙って寄せた訳ではないらしいが、イシレリの顔をプリントしたTシャツもバカ売れしているらしく、この金髪転向は色んな意味で「大成功」と言えよう。

 

その見た目同様、ひょうきんで明るい性格だが、プレーに対しては超がつく程真面目な「努力の人」である。

 

実は、イシレリがプロップに転向したのは2019W杯のわずか10ヶ月前の話しなのだ。

 

プロップとは、スクラム最前列の第一列を任される専門職中の専門職。イシレリは高校時代に少しプロップをやった事があるらしいが、とてもとても付け焼刃で対応出来るポジションではない。まして、世界の超一流が集まるW杯で、である。

 

誤解を恐れず敢えて例えて言えば、生粋のイタリア人のイタリアンシェフがある日突然「お前、明日から寿司職人な」と言われ、銀座九兵衛の板場に立たされるようなものである。離れ業と言っていい。

 

だが、イシレリはこの離れ業をやってのけたのだ。日本代表スクラムコーチである長谷川慎氏とタッグを組み、持ち前の陽気な性格でこの試練に立ち向かい、見事プロップとしてW杯の舞台に立ったのだ。

 

そのイシレリが今シーズンのトップリーグでプロップとして登場するのか、慣れ親しんだNo.8に戻るのか。これは実に興味深い。

 

あの伝説の7連覇以来の連覇に挑む神戸製鋼、連覇達成の鍵を握るのは間違いなく中島イシレリであろう。今シーズンの彼の活躍、大いに注目である。

 

 

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