ゴールドのジャージーをまとったオーストラリア代表ワラビーズ。その中でひときわ輝く背番号7番の選手。それがキャプテンのマイケル・フーパーだ。
身長181cm体重101kgと大男揃いのワラビーズのフォワードの中では小柄に見える。
しかしホイッスルが鳴れば一回りも二回りも大きく見える。
2012年にワラビーズに召集されて以来キャップ数は99個になる。そして2014年にはチーム最年少でキャプテンに大抜擢されたように抜群のリーダーシップを持つ。
このフーパーの最大の武器が、世界に認められたまるでダミーに当たるような強烈なタックルである。
自分より大きな選手をかちあげるように仰向けに倒す。もしボールを持って走っている先に、フーパーがいたら正面から当たるという選択はなくなる。
中でも、オールブラックス戦でウイングのジュリアン・サヴェアをタッチラインの外に押し出したタックルは強烈だった。
そしてタックルに引けを取らないのが、「世界屈指のボールハンター」と呼ばれるように、ブレイクダウン(タックルして選手が倒れた時に起こる争奪戦)時のボールを奪う能力も抜群で、ジャッカルの名手と呼ばれている。
特に印象的だったのは、2015W杯でゴールに迫るニュージーランド代表オールブラックスキャプテンのリッチー・マコウからボールを奪い、トライの芽を摘んだプレーである。
そして重心の低い走りから、小さなスペースから湧いてきたように現れたり、展開を読み切ったようなフォローからパスを受けゴールを陥れる。
それも直線的な走りかと思うと、いきなりのコースチェンジでディフェンスにパニックを起こさせる。
もちろんつなぎ役としてのパスも確実である。(ボールを持って走る距離はフランカーとして世界屈指という調査データもある。)
いつも顔に傷を作りながらも「タックル・ドランカー」とも呼ばれるように不敵な笑みすら浮かべながら恐怖とは無関係に激しいプレーをする。
このように卓越したキャプテンシー、疲れを知らない運動量、けがをしない屈強な体、そしてアタック・ディフェンスにおけるマルチなスキル。
こんなフーパーを憧れで、そして目標とする選手とする小柄な日本人は多い。そう夢を見させてくるのだ。
そして彼は所属するスーパーラグビーのワラターズから、2021年の1月から7月の半年間、日本のトヨタ自動車ヴェルビリッツでプレーする事が発表された。
そのトヨタ自動車の三列には日本代表の姫野和樹選手、元ニュージーランド代表キャプテンのキーラン・リード選手が名を連ねている。まさに世界レベルの三列である。
この三列が日本で見れるということは、まさにまた新しい夢を与えてられたということだ。2021年のラグビーの初夢をどうかしっかり見てみたい。