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2021シーズン キャノンの注目選手は?

2019年のラグビーワールドカップ後、メディアに引っ張りだこになったのは記憶に新しい。

 

彼の名前は田中史朗。トップリーグ・キャノンイーグルスに所属するラグビー選手である。

田中の人気の一因はそのキャラクターにある。涙もろくて情に厚い、それでいて悲壮な覚悟を胸に秘めて戦場に赴くという、正に日本人が大好きな「浪花節」を地で行く男なのである。

 

この田中、身長166cm体重72kgと巨漢揃いのラグビー選手の中ではひときわ小柄である。一般人と並んでも、ともすれば一般人の方が大きい場合もしばしばである。人懐っこくて童顔な顔立ちも相まっており「ホントにラグビー選手?」と疑ってしまう程である。

 

メディアで見せる人懐っこい笑顔とは全く違い、一度ピッチに立つと鬼の形相を見せる。2020年のワールドカップではスターターは流選手に譲る事が多かったが、後半の勝負どころでは必ず顔を見せ、そして鬼の形相でグラウンド狭しと走り回るのである。

 

スターターの流選手は「早い展開」を信条としているが、田中はそれに加えて「あえて展開を遅くする」というプレースタイルを持っている。

 

ラグビーのように攻守がめまぐるしく変わるスポーツで「展開を遅くする」という選択が出来るのは並大抵の勇気では無い。田中はその人懐っこい笑顔の下に「強靭なハート」を併せ持つ選手なのである。

 

記憶に新しいのがスコットランド戦であろう。

 

残り時間10分を切ったあたりから、逆転を目指すスコットランドが何とか主導権を握ろうとペースを早め、ボールを奪おうと猛攻を仕掛けてきた。

 

通常このような場合、相手のペースに飲み込まれると同じようにペースを早めてしまい、つまらないミスでボールを相手に渡してしまったりするものである。

 

田中はこの緊迫した場面でも決して慌てることなく自軍を落ち着かせ、ゆっくりゆっくりボールコントロールをしてボールをキープし続けるという離れ業を演じてのけた。

 

田中は京都府・伏見工業出身。伏見工業といえばあの伝説の名プレーヤー平尾誠二さんを始めとし、数々の名プレーヤーを生んだ高校であり、率いていたのは名将山口良治さんであった。

 

田中の真骨頂「展開を遅くする」は自分とチームメイトを信じないと出来ない技であり、これはそのまま伏見工業のスローガン「信は力なり」に通じるところがあるように思う。

 

残念ながら2019年シーズンをもって日本代表からの引退を示唆した田中ではあるが、トップリーグではまだまだ老け込む年齢ではない。

 

今シーズンも「信は力なり」をもって、自分をそしてチームを信じる勇気を見せて貰いたい。その勇気は必ずや、コロナ過にあえぐこの国全体に更なる勇気の輪を広げていくのだから。

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