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2021 ヤマハ発動機ジュビロの注目選手は五郎丸か!

もう既に一般メディア等にはあまり出ておらず、すっかり「過去の人」になってしまった感はあるのだが。

それでも五郎丸歩はまごうことのないスーパースターである。

五郎丸 歩

佐賀工業時代は三年連続で花園出場、いずれもベスト8。早稲田大学では1年からレギュラーとなり大学選手権での優勝も経験。2008年から所属したヤマハ発動機ジュビロでは得点王およびベストキッカーを受賞。

 

輝かしい実績を収めている。

 

そして、五郎丸人気を不動にしたのが2015年のラグビーワールドカップだ。

 

このワールドカップではいわゆるルーティーンが注目され、8割を超えるキック成功率にどうしても目が行ってしまうが、どうしてどうしてそれ以外のプレーでも正に「獅子奮迅」と呼んでいい活躍であった。

ルーティーン

とはいえ、五郎丸を語る上でやはりキックは欠かせないものとなる。キック成功率を高める為に日本代表メンタルコーチであった荒木香織さんと研究を重ね、行き着いた先が「キックのことを考えるのではなく、ルーティーンを正しく出来ているかを考える」というあの境地なのである。

 

ちなみに五郎丸のルーティーンを元イングランド代表ウィルキンソンの真似と言う人が居るが、これは当たらないだろう。

 

五郎丸は五郎丸で、ウィルキンソンはウィルキンソンで、それぞれ研究した先の辿り着いたルーティーンが「たまたま似ていた」というだけの話と言っていい。

 

そもそもルーティーン自体はウィルキンソンが始めたものでもなく、もっと昔、例えば元NZ代表の元祖「精密機械」グラント・フォックスなどは1980年代からルーティーンを行っていた。

 

後ろに大きく五歩、そこから左に二歩ズレるというものである。余談ではあるが、当時早稲田大学に在籍していた今泉清選手のルーティーンはグラント・フォックスのルーティーンに瓜二つであった。

 

五郎丸はこのルーティーンというツールを手に入れ、キックを蹴る際の「穏やかなメンタル」を手に入れ、そしてその先のゴール成功率8割超えという世界の一流キッカーと並ぶ結果を手に入れた。

タックル精度

五郎丸には知られざる武器が少なくてもあと二つある。一つはディフェンスの強さだ。2015年ワールドカップのスコットランド戦、日本代表は7-12で前半を折り返したのだが、この前半終了間際のスコットランドのトライチャンスを潰したのが五郎丸のライン際でのタックルである。

 

スコットランドの波状攻撃に日本代表は振り回され、最後右サイドを駆け上がる右ウイングのシーモアにボールが渡った時は誰もが「もう駄目だ」と思ったのだが、この時に諦める事なく距離を詰め、ライン外に押し出す強烈なタックルを放ったのが五郎丸だった。

 

ランプレー

もう一つの武器を象徴するプレーが同じく2015年南アフリカ戦でのトライだ。サインプレーから抜け出した松島幸太郎をフォローしてボールを受け、そのまま右サイドにトライ。

 

実はこの二つのプレーには共通点がある。松島幸太郎がそのまま抜けるかも知れないと思いつつ、愚直にフォローに走る姿。

 

シーモアに追いつけないかも知れないと思いつつ、最後まで諦めない走り。そう、五郎丸のもう一つの武器とは「無駄走り」に他ならない。

 

五郎丸と言う選手は、朴訥と語るその姿が物語るように、なんとも生真面目で無駄を厭わず、愚直なまでに己の仕事を全うする「職人」なのだ。

 

ワールドカップ後の狂騒に浮かれ(本人はそのつもりは無かったと思うが)、派手な世界に身を投じてしまったばかりに忘れ掛けていた「職人」としての本性と「無駄走り」。

 

プロとしてのキャリアをスタートさせたヤマハ発動機ジュビロで、今年もう一度その愚直なまでにひたむきな姿を見せてくれるに違いない。その姿を見るだけでも、今年のトップリーグは生で見る価値が大いにある。

 

 

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