スピーディでドラマチック、そして戦略的な駆け引きが魅力の「7人制ラグビー」。一体どんなスポーツなのでしょうか?15人制とは何が違うのでしょうか?
今回の記事では7人制ラグビーの魅力と基礎知識をわかりやすく解説します。初めてでも楽しく、そして上達するためのポイントも紹介。今、世界中で注目を集めるこのスポーツを一緒に学びましょう!
【1章】初めての7人制ラグビー:基礎知識から理解する
ラグビーはその激しさとチームワークが試されるスポーツとして知られています。
しかし、その中でも特に独自の魅力を持つのが「7人制ラグビー」です。今回の第1章では、7人制ラグビーの基本ルールや歴史、そしてフィールドとポジションの概要について詳しく見ていきます。
まずは、7人制ラグビーの基本的なルールを押さえることから始めましょう。これを理解することで、次に進むための基盤となり、試合の楽しさを一層深めることができます。
初心者が知るべき7人制ラグビーの基本ルール
ラグビーは全力で体をぶつけ合う激しいスポーツとして知られていますが、その中でも7人制ラグビーは特にスピーディーな展開が魅力です。
ここでは、7人制ラグビーの基本的なルールを初心者の方にもわかりやすく説明します。
目的は「トライ」を狙うことです。トライは、ボールを相手チームのゴールラインを越えて地面に押し付けることで得点となります。
これが7人制ラグビーの最も基本的な目的であり、一つのプレーの終結となる瞬間です。
試合は2つの7人チームによって行われ、各チームは3人のフォワードと4人のバックスから構成されます。
フォワードもバックスもスピードとスキルを駆使してゲームを展開します。
試合時間は基本7分ハーフ
で行われます。決勝戦は10分ハーフ。この短い時間内でどれだけポイントを稼ぐかが勝敗を決するため、一瞬の隙も許されません。
ゲームは中央のキックオフから始まります。これはボールを蹴って試合を開始することを意味します。キックオフはハーフタイム(前半と後半の間)と各トライ後にも行われます。
タックルやラック(タックル後の競り合い)も7人制ラグビーでは重要な要素です。
ラグビーの歴史と7人制ラグビーの登場
ラグビーの起源は19世紀のイギリスにまで遡ります。このスポーツが始まったのはイングランドのラグビー校とされており、その名前もここから取られました。
当初は15人制が一般的で、精力的な体力勝負のスポーツとして広まりました。
しかし、15人制ラグビーは人数が多く、広いフィールドを必要とするため、その制限から逃れるために別の形式が求められました。
ココがポイント
その結果、それぞれのチームが7人という、より少ない人数で戦う新しい形式が誕生しました。それが7人制ラグビーです。
7人制ラグビーは、1950年代のスコットランドで始まりました。スコットランドのメルローズという町で、資金集めのイベントとして企画されたのが最初だとされています。
その後、そのスピーディーさと見ごたえのあるプレーが評価され、世界中で普及し始めました。
7人制ラグビーは、15人制よりもフィールドが広く感じ、選手一人一人のスキルが試合の結果に大きく影響します。そのため、テクニックや戦略が重要視されるようになりました。
この7人制ラグビーがオリンピックの正式種目になったのは、2016年のリオデジャネイロオリンピックからです。
短時間で試合が進行し、そのスピーディーな展開と点の取り合いが観客を魅了し、大いに盛り上がりました。
それ以来、ラグビーセブンズは世界中でますます注目を集めるようになり、その魅力が広く認知されるようになりました。
現在、ラグビーセブンズはそのスリリングな試合展開から、多くの新たなファンを得ています。
それぞれの選手が持つスキルを最大限に活かし、僅かな時間内で得点を重ねるそのゲーム性は、観る者を惹きつけ、興奮させます。これからも7人制ラグビーの成長と発展が期待されます。
ラグビーフィールドと各ポジションの概要
7人制ラグビーのフィールドは、長さが約100m、幅が約70mと、一般的な15人制のラグビーフィールドと同じ大きさです。
しかし、プレーヤーの数が半分以下なので、選手一人当たりのカバーする範囲は広く、スピードと持久力が求められます。
このフィールドには、「トライゾーン」、「ゴールポスト」、「デッドボールライン」などがあります。
トライゾーンは、ゴールラインとデッドボールラインで囲まれたエンドゾーンで、ここにボールを押し付けることでトライ(得点)となります。
ゴールポストは、トライ後の追加点(コンバージョン)を獲得するための目標です。
次に、ポジションについてですが、フォワードは1番、2番、3番と番号がつけられ、スクラム(接点)でフロントラインを形成します。
彼らの役割は、接点やラインアウトでボールを奪ったり、保持したりすることです。
ココがおすすめ
15人制では大きな体格とパワーが求められますが、7人制ではスピードとパワーとテクニックが求められます。
一方、バックス(4番から7番)は、スピードと機敏さが求められ、チームの攻撃力を引っ張ります。
特に、スクラムハーフ(4番)はフォワードとバックスの間でプレーをつなぎ、プレーの指示を出す重要な役割を持っています。
ココに注意
7人制ラグビーでは、15人制とは異なり、全てのプレーヤーが高いスキルを持ち、多様なプレーをこなすことが求められます。
したがって、7人制ラグビーのポジションはあくまで目安であり、全員が攻撃と守備、ボールハンドリングとスピードを兼ね備えている必要があります。
7人制ラグビーはスピードと技術が重視されるスポーツで、どのポジションにおいても高いスキルが求められます。
【2章】7人制と15人制のラグビー:違いを押さえてゲームを理解する
ラグビーはその形式により、戦略やプレースタイルが大きく異なります。特に、プレーヤーの数が異なる7人制と15人制では、その違いが如実に現れます。
本章では、7人制ラグビーと15人制ラグビーがどのように異なるゲームであるのかを理解していきます。
7人制ラグビーと15人制ラグビーのルールの違い
ラグビーは、そのプレイヤー数により大きな違いが現れます。一般的に知られている15人制ラグビーと、よりスピーディでエキサイティングな7人制ラグビー。
それぞれのゲームはルールが微妙に異なり、その違いが戦略やプレイスタイルに影響を与えます。
まず最初に注目すべき違いは、試合時間です。7人制ラグビーは、前後半7分(決勝戦では10分)の試合となります。
さらに、ペナルティキックのルールも異なります。7人制ラグビーでは、ペナルティが与えられた際には、直接ゴールを狙うことはできますがドロップゴールのみです。
一方、15人制ラグビーでは地面において蹴るプレスキックもドロップキックも可能です。
このように、プレイヤー数の違いがルールに影響を及ぼし、ゲームの進行戦略に大きな違いを生んでいます。どちらも同じラグビーというスポーツでありながら、異なる魅力と戦略性を持っているのです。
7人制 | 15人制 | |
試合時間 | 前半7分 後半7分 | 前半40分 後半40分 |
ハーフタイム | 2分 | 15分 |
フォワードの人数(スクラム組む人数) | 3人 | 8人 |
バックスの人数 | 4人 | 7人 |
トライ後の試合再開 | トライしたチーム | トライされたチーム |
トライ後のコンバージョンキック | ドロップキック | プレースorドロップキック |
ペナルティーゴール | ドロップキック | プレースorドロップキック |
シンビン(一時退出) | 2分 | 10分 |
7人制ラグビーで使われる主な用語
反則の種類や用語は15人制と変わらないです。以下は代表です。
用語 | 内容 |
トライ | ゲームで最も重要な行為。攻撃側がボールを相手陣地のゴールエリアに持ち込み地面に押し付けることで、5点が得られます。 |
コンバージョン | トライ後、ボールをゴールポストの間に蹴り入れることで2点が追加できます。蹴る位置はトライした位置によります |
スクラム | フォワード(前列者)が組み合わさり、ボールを奪い合うシチュエーション。7人制ラグビーでは、両チームから3人ずつ、合計6人でスクラムが形成されます。 |
ラインアウト | サイドラインアウト(ボールがサイドラインを越えてアウトになった)後の再開プレイ。投入されたボールを争います。7人制では、2人のプレーヤーが参加します。 |
ペナルティー | ルール違反があった場合、違反した側にはペナルティが科され、その場所から相手ゴールを狙うことができます。ただし、7人制ではドロップゴールとなります。 |
タックル | ボールを持っている選手を防御側の選手が両手で持ち倒す行為。 |
ノックオン | プレーヤーがボールを前方に落とし、地面に触れさせる違反行為。スクラムで試合が再開されます。 |
オフサイド | ラグビーにおける最も複雑なルールの一つ。選手がプレーに参加する位置について規定しています。違反するとペナルティとなります。 |
これらの用語はラグビー観戦やプレーにおいて基本的な知識となります。理解しておけば、ゲームの流れや戦略を把握する上で大いに役立つでしょう
【3章】7人制ラグビー:試合展開と見どころ
ラグビーは単に力強さやスピードだけではなく、戦略性や技術も重要なスポーツです。それは7人制ラグビーにも言えます。
7人制ラグビーで活躍するために必要な基本スキルや、試合の見どころについて見ていきましょう。
7人制ラグビーで必要な基本スキル
7人制ラグビーは、一人一人が多くの役割を担い、個々の技術が非常に重要なスポーツです。
プレイヤーに求められる基本スキルは、主にパス・キャッチ、ランニング、タックル、キック、そしてリスタートです。
ココがポイント
つまり、15人制のフォワードのような、前に突進して相手にぶち当たるようなプレーはあまり必要とされてません
パス・キャッチ
7人制ラグビーでも、ボールは後ろへのみパスできます。そのため、ランニング中でも的確にパスし、またキャッチする技術は必須です。また、スピーディなゲーム展開の中で、瞬時にパス先を判断する視野の広さも求められます。
ランニング
ランニングスキルには、スピードはもちろん、素早く方向を変えたり、敵プレイヤーをかわしたりするアジリティが必要です。更には、自身の動きによって相手の防御ラインを崩すスキルも重要となります。
タックル
7人制ラグビーではスペースが広く、1対1でのタックルが多く発生します。そのため、相手の動きを読み取り、しっかりとタックルできる技術が必要です。また、タックル後のプレー再開の迅速さも重要となります。
キック
ゲームの進行中、特定の状況でキックを行います。キックオフ、ゴールキック、ペナルティーキック等、それぞれのキックに適した技術が必要となります。特に、7人制ではスペースを利用したキックが有効となり得ます。
リスタート
特にペナルティー後の素早いリスタートでは素早いタップキックのセンスが求められます。
以上が、7人制ラグビーにおける基本スキルとなりますが、全てのスキルが連携して機能することで初めて、ゲームは有利に進行します。
また、これらの技術だけでなく、状況判断力やコミュニケーション能力もまた、重要な「スキル」であり、戦略的なプレーには欠かせません。
プレイヤー個々のスキル向上と共に、チームとしての結束力を高めていくことが、7人制ラグビーでの勝利に繋がります。
7人制は鬼ごっこ!
7人制の試合は、まさに”鬼ごっこ”です。
7人制と15人制の一番の違いは、やはりプレイヤーの数です。15人制の半分以下でアタックやディフェンスを行いますが、1人当たりの仕事をする範囲も広くなってきます。
15人制の時のように、ボールを持った選手がタックルされて、2人目、3人目の選手がオーバーに入りボールを確保する事が難しくなってきます。(オーバーが分からない方は下記動画をご覧ください。)
なので、相手のディフェンスに触られないように、触られないようにスペースを見つけて走ります。真横に走ったり、真っすぐ走ったり色々です。
ディフェンスに捕まりそうになったら、一旦スピードを緩め味方選手のフォローを待ちバスを繋ぎます。
↓7人制の試合
一方で、15人制の攻撃は少し違います。ディフェンスの人数が多い分、アタックの選手が相手を抜くスペースも狭くなってしまいます。
逆に言うと、アタックの人数が多いため、捕まっても直ぐに見方が来てくれます。そのため、横に走ったりする事は基本的にはありません。
基本は、"前に、前に"です。
15人制でキレイなトライの形は、”前にボールを運ぶ ⇒ ディフェンスの人数が減る ⇒ ボールを外に回しウイングがトライする”です。
ディフェンスの人数を減らすためには、ディフェンスにぶち当たりに行くのみです。
ボールを持った1人の選手に対して、ディフェンスが2人で止めに入ったら、14人対13人と人数が減るわけです。
ワールドカップ2019で日本代表対アイルランド戦の大事な一戦で福岡選手がトライをした一連のプレーが非常に分かり易いでしょう。
ゴール前スクラムの連続縦攻撃から、最後はウイングの福岡選手までパスを回し、見事なトライを生み出しました。(下記動画を参照)
激しいぶつかり合いを制したチームがトライラインまでボールを運ぶ事が出来るのもの15人制の魅力でもあります。
しかし、7人制に「体が大きくて強い」選手だけでは、試合に出場するのは難しいです。
ココがポイント
7人制で試合に出場するには、パスが回せる&足が速い&強い選手が求められます。
スクラムを組む、3人のフォワードのポジション名は15人制のスクラム1列目で体を張るプロップとフッカーとなりますが、15人制で出場している日本代表の稲垣・堀江・具といった選手は出場しません。
フォワードとして出場する機会が多いのは、15人制で背番号6番・7番・8番をつけているフランカー・№8の選手です。
バックス並みのスピードとパススキルを兼ね備えたプレイヤーです。
7人制ラグビーの見どころは個人技!
7人制ラグビーの見どころは、やはり”個人技”でしょう。1人1人に与えられるスペースが広い分、ボールを持った時に「この選手は凄い選手なのか?その逆か?」直ぐに分かります。
凄い選手にボールが渡った時は、観客のテンションも一気に上がります。それでは、セブンスラグビー界のスーパースターを見ていきましょう。
ジュリー・トゥワイ
2016年リオオリンピック優勝メンバーの1人、体は小さいキレキレなステップはニュージーランド代表も止められない。
カーリン・アイルズ
アッメリカ代表としてオリンピックを目指していた元短距離選手 当初予定とは違う競技での代表となったが、ラグビー界世界最速と称されるスピードは、本物!
ペリー・ベイカー
カーリン・アイルズと同じアメリカ代表には、もう1人セブンスラグビー界で世界最高と称される選手がいます。スピードに乗った彼に追いつける選手はいるのでしょうか?
今まで、フィジーやサモア、ニュージーランドといった南半球のチームが強いセブンスでした。
<2016年リオオリンピックの順位>
1位:フィジー
2位:イギリス
3位:南アフリカ
<2020年東京オリンピックの順位>
1位:フィジー
2位:イギリス
3位:南アフリカ
しかし近年、アメリカ―のセブンスチームにはスター選手が揃っおり、チームの成績も上位に食い込むようになりました。
2019年3月に行われたアメリカセブンスでは、惜しくも準優勝となってしまいましたが、準決勝ではニュージランドを破る大金星をあげています。
2020年東京オリンピックでは、残念ながら6位入賞にて終わってしまいましたが、アメリカンフットボール大好きのアメリカ代表がオリンピックの表彰台に上がる未来もそう遠くないかもしれません。
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