ラグビーの試合を見ていると、
「ピー!」
「えっ、反則?もう少しでトライだったのにー!」
「あれ、何?マイボール??」
「なんだアドバンテージがあったのかー。」
と、日本代表のせっかくのトライチャンスが相手ボールになってしまうのかと、がっかりしそうになった事ありませんか。もしくは、「アドバンテージを取らないでペナルティーの笛吹けばいいじゃん!」と不満を言う人もいるのではないでしょうか。
という事でこのページでは、何故アドバンテージ取る必要があるのかについて説明致します。
目次
攻撃を積極的にするアドバンテージ
ラグビーの試合では、ディフェンスのチームが反則をするとレフェリーは直ぐには笛を吹かずアドバンテージを取ります(一部の反則除く)。下記画像のように手を上げ選手達に伝えます。「アドバンテージ!」と声も出します。
アドバンテージが出ると、ボールを持ってアタックしているチームは攻撃を続けます。時にはアグレッシブなプレーでトライを獲りに行きます。アドバンテージ時に良く見る攻撃がキックパスからのトライです。
ワールドカップ2019の日本対アイルランドの試合で、アイルランドが最初にトライをした形がキックパスでしたね。
キックパスが成功すれば、一気に敵陣深くまで入る事が出来るのでビックチャンスに繋がります。しかし、ディフェンス側もキックはケアしているので、ボールを取られてしまう可能性も非常に高いのです。
そのため、アドバンテージがある時に使う事が多い戦術なのです。キックパスが成功しなくても、相手が反則を犯した位置からリスターと出来ます。
リスタートの選択肢
・ゴールキック
・スクラム
・ タッチキック
・タップキック
アドバンテージはいつまで続くの?
アドバンテージは時間決まっているの?と疑問に感じるでしょう。アドバンテージには明確な基準は設けられていません。そのため、選手達が納得のいく笛が聞けるかはレフェリーの能力が重要になってきます。競技規則には以下のように書かれています。
<アドバンテージの原則>
一方のチームが相手の反則により利益を得た場合 、レフリーは 、競技が流れるようにするた めにプレーを継続させることができる
⇒反則の度に試合を止めていては、非常につまらない試合になってしまいます
<アドバンテージの終了>
a.レフリーが 、反則をしていないチームが利益を得たとみなした場合
b.レフリーが 、反則をしていないチームが利益を得そうにないとみなした場合
c.則をしていないチームが 、自分達が利益を得る前に反則を犯した場合
d.反則をしたチームが 、アドバンテージが生じない2つ目 、または 、前の反則に続く反則を犯した場合
cとdは、分かり易いですよね。cは、アドバンテージの攻撃中にノックオン等をしてしまった時です。レフェリーは笛を吹き、最初の反則があった位置からリスタートします。
d.は例えばオフサイドの反則でアドバンテージをもらい攻撃を続けていたら、アドバンテージ中に相手がまたオフサイドの反則を犯した。というような時です。
この時はレフェリーが笛を吹き試合を止めます。そして、どちらか有利な方(1回目の反則 or 2回目の反則)の場所を選択させます。一方で、a.bはレフェリーの感覚的な視点が入ります。
10mくらい前に進みアドバンテージを終了するレフェリーもいば、15m進んでも利益を得ていないとが判断するレフェリーもいます。その場合、アドバンテージは継続します。
また、長い時間攻撃を続けたとしても、前に進んでいなければ、アドバンテージは継続します。
アドバンテージを取らない時もあるの?
攻撃の中で、アドバンテージを取らない時もあります。ワールドカップでは以下のプレーをよく見かけるのではないでしょうか。
a.スクラムでの反則が起きた時
⇒故意に崩したり、 故意に回転させる反則をされた場合はレフェリーは、直ぐに笛を吹きます。
b.危険なプレー
⇒ハイタックルなど危険なプレーで反則をした場合もアドバンテージは適用されず直ぐに笛を吹きます。
このアドバンテージを取るタイミングや長さこそ、レフェリーの巧みな部分なのかもしれません。ワールドカップのような大舞台で笛を吹くレフェリーの方々は、気持ち良いレフェリングをしてくれるレフェリーばかりです。
レフェリングが試合を楽しくする
レフェリングが悪いと、選手達も試合を楽しめませんし見ているファンも楽しめないです。試合がスムーズに進むように、レフェリーが試合をメイクしていく必要があります。
SNSには、ラグビーをあまり見たことなかったファンから、「ラグビーって楽しい」というような投稿をよく見るようになりましたが、レフェリーが試合を楽しくしてくれているのも理由の1つです。
2015年のときは、よくわからず観戦。いまだによくわからないルールがあるけど、ラグビーがこんなに楽しいスポーツとは!! #ラグビーワールドカップ #ラグビーW杯2019
— 【2019年ラグビーW杯】情報 にわか仕込みファン (@rugby_w_ja) October 24, 2019
また、テレビでは分からないかもしれませんが、選手達はプレー中にレフェリーとコミュニケーションをとる事があります。何故ならばレフェリーによって厳しくとる反則が変わってくるからです。
例えば、ラックからのディフェンスです。(↓ラック)
「ディフェンス出てもOK?」とレフェリーに聞くと、「まだ、ダメ!」というレフェリーもいれば「いいよ。もうボール出てるよ。」というレフェリーもいるのです。
選手達は、試合中にレフェリーの癖を見抜き、「レフェリーが反則を取り易いプレーはしない!」「反則を取られても文句を言わない!」を徹底し、レフェリーを味方につける事も試合に勝つうえで非常に大事になってきます。
もしかしたら、アドバンテージを長めに取ってくれるかもしれません。(笑)
以上のように、直ぐに笛を吹かないでアドバンテージをとる事で試合の流れを崩さず、攻撃をアグレッシブにし更にエキサイティングな試合を楽しませてくれるのです。
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