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ラグビーリーグワンは完全プロ化なのか?ディビジョンの基準は?外国人枠はどうなった?

2022より開幕となった日本ラグビーの新リーグ リーグワン。正式名称は「JAPAN RUGBY LEAGUE ONE(ジャパンラグビーリーグワン)」
トップリーグから何が変わったのか、疑問に感じる人も多いだろう。
このページでは、リーグワンのビジョンやミッションから、チームをどのように評価しリーグを分けたのか?完全プロ化になったのか?等紹介したい。

目次

まず、リーグワンの参加チームを見ていこう。

リーグワン 参加
これまでのトップリーグ14チーム編成から変わり、ディビジョン1~3で分けられている。ディビジョン1は12チーム、ディビジョン2は6チーム、ディビジョン3も6チームの合計24チームとなる
ホーム&アウェイ方式でリーグ戦は行われるため、各チーム ホストエリア(ホームタウン)を設定することがリーグ参加への条件となっており、リーグワン設立に伴いチーム名から会社名を除いたチームも多い。※以下のチーム編成はリーグワン発足時

ディビジョン1

チーム名 旧チーム名 ホストエリア
グリーンロケッツ東葛 NECグリーンロケッツ 千葉・我孫子、柏、松戸、流山、野田、鎌ヶ谷各市
シャニングアークス東京ベイ浦安 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 千葉・浦安市と周辺地域
NTTドコモレッドハリケーンズ大阪 NTTドコモレッドハリケーンズ 大阪市
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ クボタスピアーズ 東京・江戸川、中央区、千葉・市川、船橋、千葉、市原、成田各市
コベルコ神戸スティーラーズ 神戸製鋼コベルコスティーラーズ 兵庫・神戸市
埼玉ワイルドナイツ パナソニックワイルドナイツ 埼玉県
静岡ブルーレヴズ ヤマハ発動機ジュビロ 静岡県
東京サンゴリアス サントーリーサンゴリアス 東京都、港区、府中、調布、三鷹各市
東芝ブレイブルーパス東京 東芝ブレイブルーパス 東京都、府中、調布、三鷹各市
トヨタヴェルブリッツ トヨタ自動車ヴェルブリッツ 愛知・豊田、みよし、名古屋各市
横浜キヤノンイーグルス キヤノンイーグルス 神奈川・横浜市
ブラックラムズ東京 リコーブラックラムズ東京 東京都、世田谷区
ディビジョン2・3は以下の通り。()内はホストエリア

ディビジョン2

・釜石シーウェイブス(岩手・釜石市)
・花園近鉄ライナーズ(東大阪市、大阪府)
・日野レッドドルフィンズ(東京・日野市、八王子市および周辺地域)
・スカイアクティブズ広島(広島県)
・三重ホンダヒート(三重県)
・三菱重工相模原ダイナボアーズ(神奈川県、相模原市)

ディビジョン3

・九州電力キューデンヴォルテクス(福岡・福岡市)
・クリタウォーターガッシュ昭島(東京・昭島市)
・清水建設江東ブルーシャークス(東京・江東区)
・中国電力レッドレグリオンズ(広島県)
・豊田自動織機シャトルズ愛知(愛知県)
・宗像サニックスブルース(福岡・宗像市)

ディビジョン分けは採点方式

リーグワン 採点
ティジョン1の12チームが、これまでのトップリーグの位置付けになる。言わば日本ラグビーリーグのトップチームだ。
しかし、今回のディビジョン1への選定においては、単に強いだけでは選ばれない。日本ラグビーの活性化に向けた各チームの取り組みや今後の目標も評価されている。

4つの実現するべきミッション

・ファンが熱狂する非日常空間の創造
・地元の結束、一体感の醸成
・日本ラグビーの世界への飛躍
・社会に貢献する人材の育成
上記ミッションを、要約して条件に落とし込むと以下のポイントが挙げられる。
1.均衡した試合ができること
2.ホームエリアを設定しラグビーの試合を優先出来るスタジアムを持っていること
3.ビジネス化して成り立つチームであることまたは、それに向けたビジョンがあること
4.ラグビーの普及活動をおこなっていること。
では、まず一つ目の、均衡した試合の条件から見ていこう。

1.均衡した試合ができること

ビジョンにもある、ファンが熱狂する非日常空間の創造に当たるがやはり常に決勝戦のようなファンが熱狂する熱い試合が求められる
トップリーグのように14チームが総当たりで戦う試合では、上位チームと下位チームとの試合では下位チームが、大敗することも少ない。
試合としては、面白くない。勝っているチームのファンも負けているチームのファンも同じ思いだ。それは、観客数にも響いてくる。
サントリーの試合でさえ、大差が開いてしまう下位チームとの試合は、東京の秩父宮ラグビー球技場で試合したとしても5,000人に満たないのだ。
もちろん、上位チーム同志の試合では20,000人を超えてくる。これでは、ファンが熱狂する空間は作れない。強いチームでリーグを形成する必要がある。
しかし、2022年の新シーズンでは以下のような疑問が出てくる。

疑問点

  • 何故、NECがディビジョン1なのか?
  • 近鉄はなぜトヨタと入れ替わったのか?
  • 豊田自動織機がディビジョン3!?
以下はトップリーグ ラストシーズン リーグ戦(ホワイトカンファレンス)の成績だ。
順位 チーム 総勝点
1位 パナソニック 31
2位 神戸製鋼 29
3位 NTTドコモ 17
4位 リコー 17
5位 キャノン 16
6位 ヤマハ 15
7位 日野 7
8位 NEC 1
リーグワン初年度のディビジョン1には、ホワイトカンファレンスで最下位だったNECが名を連ねている。そして、7位の日野レッドドルフィンズはディビジョン2のスタートとなるのだ。
これには、納得いかない選手もいるだろう。
なんでNECがディビジョン1なんだ!
そんな不満も出ているはず。
ディビジョン2.3のチームはもちろん所属するチームの選手にとっても痛手となる。何故ならば日本代表に選ばれにくくなる可能性があるからだ。
現にディビジョン2となったチームの日本代表レベルの選手はディビジョン1へ移籍している。

<リーグワン初年度にディビジョン1へ移籍した日本代表選手>

名前 移籍元 移籍先
チーム名 ディヴィジョン
具 智元 ホンダヒート 2 神戸製鋼
レメキ ロマノラヴァ サニックス 3 NEC
ジェームス・ムーア サニックス 3 NTT
リアキ・モリ 日野 2 キャノン
ディヴィジョン2.3のチームとしては、納得いかないだろう。ディビジョン1選考の考え方を明確にして欲しい。
一つ言えるのは、チームの力が弱くても、他の要素が整っていれば、強いチームよりも優先されディビジョン1のリーグで試合ができるという事だ。
では、NECの何が評価されたのかも含めて、他の要素も見ていこう。

2.ホームエリアを設定しラグビーの試合を優先出来るスタジアムを持っている

リーグワンのビジョンは「あなたの街から、世界最高をつくろう」だ。
新リーグのディビジョンはJリーグと同じように、ホーム&アウェイ方式での試合となる。ホームエリアを定め、5,000人以上収容できるホームスタジアムを構えることが条件となる。
スタジアムを新しく構えなくてもラグビーの試合が優先的に出来るスタジアムを確保する必要がある。

リーグワン スタジアムの状況

チーム名 都道府県 ホームスタジアム
グリーンロケッツ東葛 千葉県 柏の葉公園総合競技場
シャニングアークス東京ベイ浦安 千葉県 夢の島陸上競技場
NTTドコモレッドハリケーンズ大阪 大阪府 ヨドコウ桜スタジアム
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 東京都 江戸川区陸上競技場
コベルコ神戸スティーラーズ 兵庫県 ノエビアスタジアム神戸
埼玉ワイルドナイツ 埼玉県 熊谷ラグビー場
静岡ブルーレヴズ 静岡県 ヤマハスタジアム
東京サンゴリアス 東京都 味の素スタジアム
東芝ブレイブルーパス東京 東京都 味の素スタジアム
トヨタヴェルブリッツ 愛知県 豊田スタジアム
横浜キヤノンイーグルス 神奈川県 ニッパツ三ツ沢球技場
ブラックラムズ東京 東京都 駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場
基本的には、すでにあるスタジアムをホームスタジアムとして使用することになる。一番しっくりくるのは、トヨタヴェルブリッツが使用する豊田市のトヨタスタジアムくらいだろうか。
東京のサントリーと東芝においては、2チームが味の素スタジアムがホームスタジアムに設定している。FC東京が、ホームスタジアムとして使用しており観客が多いサッカーの試合より優先するのは難しいだろう。
要するに、2022年の立ち上がり時点では、この要素は曖昧なのだ。
リーグワンの森理事長も、達成目標ではなく、努力目標としている。また、東京にはラグビーの聖地ラグビー場もある。国立競技場もある。ホームスタジアムがなくとも、都内であればファンは足を運ぶことが出来る。
NECを見てみると、20,000人収容出来る千葉県の柏の葉公園総合競技場をホームスタジアムに設定しており、ホームスタジアムとして使用するのはグリーンロケッツのみとなる。

つまり、ラグビーの試合を優先的に出来ることになっている。ホームでの試合は、地元ファンの熱い応援が待っている。

ホームスタジアムで試合をするのであれば、見に来てくれる人を増やす必要がある、たくさんチケット売って、観客を増やし、グッズを販売し収益を上げていく必要がある。
客が入らなかった分は、協会が赤字をこうむるなんて事がならないようにしなければならない。事業として成り立たせ、ラグビーの普及や更にチームを強化していくことが求められる。

3.チームの稼ぐ力が大事!

これまでの実業団ではダメ。変えていく必要がある。NECは、他球技とのパッケージにて自立運営によるビジネス化を推進していく。
具体的には
・チーム強化
・チームコミュニティ活性
・収益性向上
の3本柱で、ビジネス化を加速し、成果の最大化を目指している。

NECは、企業スポーツチームであるNECグリーン
ロケッツ東葛(ラグビー)とNECレッドロケッツ
(女子バレーボール)について、地域コミュニティ
と連携しながら、自立運営によりビジネス化を
目指す活動を開始します。また本活動を加速
するため、「スポーツビジネス推進本部」
2021年6月1日付で新設しました。
HP

オーストラリアのマイケル・チェイカH Cを呼ぶなど、人材確保にも力を入れている。
その他には
東芝とヤマハが、企業母体の100%出資の子会社を設立 事業会社となとなった。しかし、ほとんどのチームは、構想はあるものの実行には移っていないのが現状だ。

4.ラグビーの普及活動もすべし!

日本ラグビーの普及においても、重要視されている。なぜならば、日本ラグビーの競技人口は思っている以上に少ないのだ。
ラグビー人口は約10万人
サッカーは、436万人
ちなみに、個人競技の弓道は12万人を超える。
ゴールデンのTV中継では、絶対に試合を見ることがない弓道よりラグビーの人口は少ないのだ
日本ラグビー界においては、小学生から大人になるまでラグビーを継続出来る基盤作りが必要になってくる。何故ならば、ラグビー人口が一番多いとされる年代は小学生だ。
中学生に進学しても、ラグビーが出来る環境に巡り合えず離れていく選手も少なくない。2021年時点、リーグワンに所属するチームはラグビーアカデミーやスクールを運営するチームが増えている。

ココがポイント

NECはもちろん、キャノンや神戸製鋼、日野レッドドルフィンズなど、これまで、ラグビスクールやアカデミーを運営していなかったチームが地域でのラグビー普及活動に貢献している。

小学生のみならず、中学生、将来的には高校生もユースチームとして構えるビジョンを打ち出しているチームもある。

面白いのシーズン2年目!結局は入替戦の勝者が上がれる! 

上記のような要素に対し点数づけした結果で、2022年ディビジョンが振り分けられている。
NECで言えば、前期の成績からすると均衡した試合は難しいが、ホームスタジアムや事業性、普及での評価が高いと言うことになる。
ただし、この点数づけも、直近3年くらいは、あまり意味がない。なぜなら、下位リーグとの入れ替え戦を行い負けてしまえば、転落するのだ。

ココがポイント

つまり2年目シーズン以降が、本来の”強さ”で振り分けられたリーグとなる。

たとえば、ディビジョン1のNECとディビジョン2の相模原が入れ替え戦を行い相模原が勝てば、来年 ディビジョン1でプレーをするのは、相模原となる。
これは、ディビジョン2とディビジョン3も同じ。ディビジョン2のマツダとジョビジョン2の豊田自動織機が戦い、豊田自動織機が勝利すれば来シーズはディビジョン2でのリーグ戦となる。
リーグワン 入れ替え戦
あれ?ホームスタジアムや事業化などのミッションに対する点数はどうなった?と言うことになるが、3年後、5年後を見据えて引き続き日本ラグビーが目指す将来に向けて活動を強化する必要はある。
サッカーの町田ゼルビアがJ 1昇格を許してもらえなかったというスポーツ界の前例があるように、ラグビーでも同じような評価をされることになる日も来るだろう。

リーグワンは結局プロ化していない!

ラグビーの新リーグを語るうえで外せないのが、完全プロ化構想だ!
ワールドカップ2019日本大会を機に加速した構想だったが、賛成した企業が少なく完全プロ化とはならなかった。引き続き、企業の正社員としてラグビーを行う選手が大半を占める。
もちろん中には、プロ契約の選手もいる。チームで言えば、キャノンは全員プロ契約だ。そのため、プロ選手を望んでキャノンへ移籍する選手も少なくない。
・将来に渡りラグビーを職として生きて行きたい選手。
・自営業など、引退後も職が保証されている選手
はプロ契約を望む傾向にある。
やはり、プロ化のメリットは、毎日会社に行く必要が無い点だ。ラグビー選手として入社した以上、そこまでどっぷり仕事に入り込む事は無いものの、仕事を与えられる選手はストレスを抱えている。
そのため、プロ志望の選手は多いのだ。

気になる外国人枠。オール外国人も可能?

試合の鍵を握るといっても過言ではない外国人選手の起用。
神戸製鋼が優勝した2019-2020シーズン、注目を集めたのは、元ニュージーランド代表のダン・カーターだった。そして、2020-2021シーズンでは、サントリーと契約した、ボーデン・バレット
ラグビー界のスターと言われる選手が続々と日本のチームでプレーしている。
そして、その都度「外国人選手は何人試合に出れるのか」が疑問に上がる。
日本国籍を取得している選手もいるので、チームによっては、多くの元外国人選手を起用出来るため、にわかラグビーファンの方にはわかりにくい。
なので、前提として日本国籍を取得しているのかは一つのポイントとなる。既に日本人と同じ扱いであり、外国人枠としてはカウントされない。
今回、リーグワンにおける外国人枠のルールでは、何人まで!と断定するのは難しい。チームによって異なってくる。
条件が揃えば、超最強の布陣で試合に臨むことができる。

外国人枠は4人!そのうち他国代表選手はMAX3人

お金をふんだんなく使えば、スクラムハーフ(9番)にニュージーランド代表、スタンドオフ(10番)にニュージーランド代表、フルバッグ(15番)にニュージーランド代表という既に他国で代表選手として活躍している逸材を3人まで活用する事が出来る。
その他に、他国体表にも選ばれいおらず、日本代表資格も獲得していない選手がいれば4名まで出場することが出来る。
しかし、外国人枠としてMAX4名なので、他国の代表選手を3名グランドに立たせるとなると残りの枠は1名となる。もちろん他国代表に選ばれていない外国人選手を4名出場する事も可能だ。
そして、その他に日本国籍を取得していなくても外国人日本代表選手がチームに所属していれば、何人でも出れる

脅威!外国人日本代表選手の存在

例えば、チームに日本代表のNO8アマナキ・レレイ・マフィ(イーグルス)や、FLピーター・ラブスカフニ(スピアーズ)、FLベン・ガンター(ワイルドナイツ)が所属していれば、同時に出場できるのだ。
実際に、同じチームに10人以上の日本代表が所属することは非現実的であるが、他国代表選手+外国人選手+日本代表資格を持った外国人+日本国籍を取得済みの外国人選手多数チームに所属していればオールカタカナの可能性は0%ではないのだ。

日本代表資格

1その国(地域)で本人が生まれた。
2両親または祖父母の内の一人がその国(地域)で生まれた。
3本人が36カ月以上継続してその国(地域)に居住している。

まとめ

2022年1月開幕のリーグワン、是非熱狂していただきたい。
試合を楽しむのに、今回紹介した知識は必要ないが、もし疑問に感じ試合に集中出来なくなってしまった時は、見返して欲しい。
<今回説明のポイント>
・初年度のディビジョン分けは強さだけではない。
・しかし、結局入れ替え戦で負ければ次年度は下位リーグ
・完全プロ化ではない。
・外国人選手は条件が揃えばたくさん使える
それでは、ラグビー場に足を運びましょう!

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