15人制ラグビーには、数々の戦略的なルールが存在しますが、その中でも特に重要なルールの1つが「ノットテンメートル」です。

ノットテンメートルの1つは、攻撃側がボールを前進させるためにキックを行う際に適用され、攻撃側が有利にならないようにルールが設定されています。
また、守備側のルール違反に対する罰則「ノットテンメートルバック」があり、守備側がノットテンメートルを守らなかった場合に適用されます。この記事では、ノットテンメートルの定義について詳しく解説します。
ノットテンメートルのルールを理解することで、ラグビーの試合展開や戦術の奥深さをより深く楽しむことができるでしょう。
・守備時の反則
・攻撃時の反則
守備側におこるノットテンメートルバック
ノットテンメートルバックは、、守備側がノットテンメートルを守らずにボールが前進した場合に適用されます。
さらに詳しく
ノットテンメートルバックの目的は、守備側が適切な距離を保ちながらノットテンメートルを守るように促し、公平な試合の進行を確保することです。
ノットテンメートルバックは、攻撃側がノットテンメートルを守らないことによって得た不正な利益を取り消す必要性から設定されています。
ノットテンメートルを守らない守備側は、攻撃側に対して適切な距離を保つことができず、攻撃側に対するディフェンスの妨害となってしまいます。
ペナルティーの後は10メートル下がる必要あり!
ファンの中でもご存じでない方が多い反則の1つでしょう。
プレー中に反則があった場合、反則を犯したチームは反則を犯した地点から10メートル下がらなければいけません。
もし、10メートル下がらなからずにプレーに参加した場合「ノットテンメートル」が宣告されます。
レフリーは反則を宣告し、攻撃側に10メートルのアドバンテージを与えます。チャンスが続けば攻撃を続けることができますし、10メートル下がっていない場所でタックルされて攻撃が止まった場合は、その位置からリスタートとなります。
ノットテンメートルバックのペナルティーがあった場所から
・3点を狙うキック
・スクラム
・タッチキックを蹴ってラインアウト
・タップキックして攻める
このノットテンメートル、時代によって諸々変化しています。
かつてはレフリーがペナルティを宣告した後、攻撃側は「いつでも(つまり自分のタイミングで)」リスタートを仕掛ける事が可能でした。
これを利用し、相手が10メートル下がらないうちにいわゆる「※チョン蹴り」をしてプレーを再開、わざとノットテンメートル地点に居る相手に突進して連続ペナルティを貰い、更に陣地を前に進めて連続攻撃を仕掛けるという戦術を選択する事ができたのです。
↓※チョン蹴りが分からない人はこちらを19秒~
今では原則として2回目以降のノットテンメートルの反則は「きちんと10メートル下がった事」をレフェリーが確認し、それからリスタートの笛を吹くルールとなっているので、かつてのような「連続攻撃」は出来ない事になっています。
また、ペナルティを犯した側は素直にかつ迅速に10メートル戻る際に、戻りながら会話を交わしています。

テレビではなかなかここまでの音声は拾えないかもしれませんが、試合会場でこれらの肉声を直に聞いてみてください。
攻撃側におこるノットテンメートル
攻撃側でおこるノットテンメートルはキック時に発生する反則です。
シチュエーションとしては2つございますが、どちらも攻撃側に対して有利な位置を作らせないためのルールとなっています。
キックにおけるノットテンメートルの適用は、攻守のバランスを保ちつつ試合の進行を活性化させる役割を果たしています。
キックオフでのノットテンメートル
キックオフで相手陣地にボールを蹴りこむことでゲームがスタートするラグビー。
しかし、スタートと同時にフォワードの選手からしてみれば、「おいっーー。。」とつっい込みたくなる残念な反則があります。反則と呼ぶよりかはミスと言った方がよいでしょう。
監督から、「お前のキックのせいで流れが変わったな」と言われてもしかたがないでしょう。
ハーフウェイラインの両隣にある線を10メートルラインといいます。
キックオフやトライ後のキックスタート時、相手陣地にボールを蹴り込む際はこの10メートルラインを越えるのがルールとなっています。
さらに詳しく
蹴る場所が近すぎると、イーブン(蹴ったチームが有利になる)ではないため、10メートルラインを超える必要があるのです。
しかし、ミスキックをしてしまう。。これはスーパースターの選手でもやってしまう時があります。以下の動画を見ていただくと10メートルを越えないキックが確認できます。
ココがポイント
このミスキックをしてしまっ場合、ハーフウェイライン真ん中から相手ボールスクラムか、ボールが落ちた場所(平行線上)からのラインアウトでリスタートとなります。
プレー中のキック時におこるテンメートルサークルオフサイド
こちらの反則は、ノットはつかないですが10メートルの距離に対してルールを守らなかった場合の反則となります。
「テンメートルサークルオフサイド」と言われる反則です。

ハイパントキックなどの高く蹴り上げるキックをした際に起こりやすいオフサイドの反則です。通常高いキックを蹴る際は、高く遠くに蹴り上げ味方を走らせます。
通常キックで敵陣に入る場合、下記イラストの落下地点くらいを狙います。
しかし、稀にミスキックをしてしまう事があります。そうすると、下記のイラストの位置くらいにボールが落下してしまいます。そうです。フォワードがいるところに落下してしまうのです。
この場合、フォワードの1番から8番のプレイヤーはボールが落下する10m以内にいるので全員オフサイドプレイヤーになります。なので、「やばいっ!10メートルだ!」と気づいたら、下記のルールを守る必要があります。
・ボールの落下時点から10m後退する。
・もしくは、10m後退しているときに味方のプレイヤーが追い越す。
上記に2点にてオフサイドを解消することができます。ラインオフサイドと異なる点は、10メートルサークルオフサイドでは、相手プレイヤーがどんな動きをしてもオフサイドが解消されることはありません。
ココに注意
つまり、相手のプレイヤーがボールを持って5m走ったり、パスしてもオフサイドは解消しません。
まとめ
アタック側にもディフェンス側にも設定されている”ノートテンメートル”というラグビー用語。
このルールは、攻守のバランスを保ちつつ試合の進行を活性化させます。
①ペナルティーの後は守備側は10メートル下がる必要がある。
②キックオフでのキックは10メートルラインを越える必要がある。
③キックした際、落下地点にいる選手は10メートル後退する必要ある。
ノットテンメートルとノットテンメートルバックの理解は、ラグビーユニオンをプレイする選手や審判、観戦するファンにとって不可欠です。適切なノットテンメートルの守備と適切なルール適用により、公平性と競技の信頼性が確保され、エキサイティングな試合が実現されます。
