ラグビーQ&A

ラグビーのルール スクラムのコール、組む理由、歴史を紹介!

 一般の会話でも「この苦難をスクラムを組んで乗り切りましょう。」とか、「スクラムを組んでこのプラジェクトを達成する!」などとスクラムという言葉は頻繁に使われている。

ラグビーにおいてスクラムとはどういったものであろうか。

ラグビーのスクラムは試合のリスタート!

端的に言えば、スクラムとは試合を再開させるセットプレーの一種で、ラグビーの象徴ともいえるプレーである。(大観衆をバックにスクラムを組んでいる写真は多い。)

15人制の場合はフォワードのフロントロー(左右プロップ・フッカー)3人、セカンドロー(左右ロック)2人、バックロー(左右フランカー・NO8)3人の8人で組む。

 

(7人制の場合は3人)現在は3-4-1のフォーメンションで組んでいるが、かつて(かなり前のことであるが。)3-2-3で組んでいた時代がある。

その流れでフランカーのことを第3列と呼ぶが、現在はセカンドローの両サイドにつく形になっている。(余談だがNO8はバックローセンターと呼ばれていた。)

またスクラムはケガ・退場等で人数が減らないかぎり8人でスクラムを組むことになっており、(人数が少なくなった場合でも、最低フロントロー・セカンドローの5人以上でスクラムを組む必要があり、相手チームは人数を合わせる必要はない。)

そのためセブンエースと呼ばれるバックスのエクストラマン的なポジションを置いた7人スクラムや、ディフェンスやアッタク両場面でNO8がスクラムを離れて構えるプレーもあったがこれも禁止になっている。

そしてスクラムがどんな場合に行われるかというと、スローフォワード(ボールを前に出す反則)やノックオン(ボールを前に落とす反則)など比較的軽い反則の場合、

モール・ラックなどの密集状態からボールが出ない状態(パイルアップ)、フリーキック・ペナルティーなどの思い反則からスクラムを選択した場合などが挙げられる。

他にレフリーにプレーヤーやボールが当たった場合、プレーヤーの体に当たってタッチラインの外に出た時ラインアウトよりスクラムを選択した場合、

怪我などで試合が中断した場合、ペナルティーキックやフリーキック制限時間内に行わなかった場合、ごくまれにボールが破裂した場合などがある。

そしてスクラムはスクラムゾーン(両ゴールラインと、両タッチラインより5mフィールド側に入った部分)で組む

スクラムの掛け声は怪我防止!

ラグビーのポジション フォワード

スクラムを組む時のレフリーの掛け声は「クラウチ」(crouch)→「バインド」(bind)→「セット」(set)である。

これを直訳すると「クラウチ」が「かがむ、しゃがむ」、「バインド」が「縛る」、「セット」が「組む」という意味になるが、ラグビー用語的に言うなら「クラウチ」は「腰を落とす」、「バインド」が「相手を掴む」、「セット」が「組み合う」という感じであろう。

まず、「クラウチ」でフロントロー3人が腰を落とし、背中がグラウンドと平行になるまでかがむ。

次に、両サイドのプロップが外側の腕で相手側のプロップのジャージや腕を掴む。この掴み方に特に決まりはないが、大抵左プロップ(1番)の腕が下から、右プロップ(3番)の腕が上からという形で交差して相手の脇の下を掴む。

この段階でお互いのフロントロー同士は接近し、スクラムを組む準備が完了する。

最後に、「セット」の掛け声でお互いのフロントロー同士が当たり合いスクラムが開始され、反則をしたチームの反対側のチームのスクラムハーフのボールの投入により押し合い・ボールの争奪戦が開始される。

これがスクラムの一連の流れだが、この掛け声は現行の形(2013-2014のシーズンより)になる前①「クラウチ」→「アンド、ホールド」(and hold)→「エンゲージ」(engage)、②「クラウチ」→「タッチ」(touch)→「ポーズ」(pose)→「エンゲージ」、③「クラウチ」→「タッチ」→「セット」と何回か改正されて来た。

「アンド、ホールド」はクラウチの体勢を維持し続けること、「エンゲージ」は「婚約」という訳がポピュラーであるが「交戦する、戦闘する」との意味があり、プロップが組み合うための号令である。

「タッチ」はそれぞれのプロップ同士がお互いの肩をタッチするということである。これはタッチすることによりお互いの距離が近くなり、組み合った時の衝撃を軽減させるためのものである。

「ポーズ」は「中止・休止」の訳でも分かるように、これも体勢を維持することだが「体勢を維持し続けるのが難しい。」という選手サイドの意見や、時間を短縮するための理由で無くすことになった。

現行では掛け声の「タッチ」が「バインド」に変わったが、現在のジャージではピチピチのものが多いのでなかなか掴み合えない。

しかし要は掴める距離で組むという意味での「バインド」なので、掴むというより触れている事がポイントである。これで以前と比べるとまた30cmは相手との距離が縮まったので、当たった時の衝撃が全然ちがうという。

このように安全面も考慮して(試合をスムーズに進めるためにでもある。)レフリーがコントロールするようになったスクラムだが、それ以前はどうだったであろう。

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スクラムのトンネル以外のいずれかの方向からボールが出た場合、スクラム最後尾のプレーヤーや、スクラムハーフがボールを拾い上げた場合、レフリーがペナルティーやフリーキックなどの反則を取った場合、そしてボールがゴールラインを超えた場合、スクラムは終了となる。

こうしてレフリーの判断とリードによりゲームは流れていくが、まだレフリーの掛け声がなかった時代のスクラムはどうであっただろうか。

これはまさに大相撲の逆(かつては行司の軍配が返ったら立ったが、現在では互いの気が会ったら立つ。)で、フロントロー同士の気があったらスクラムを組むというスタイルで、当時のフッカーの役目として、いち早くスクラムとなるポイントに到着し、

相手チームより有利となるよう素早くバインディング(パックと呼ばれていた。)を固め、スクラムの姿勢を取ることが求められた。

そのパックも左プロップには右肩の上(オーバーパック)、右プロップには左肩の下(アンダーパック)とすることが多かった。

これはスクラムを最初に右方向に押し込んでいたからである。この時代の映像を見ると相手との距離もかなりあり、まだバインディングが整わない状態での当たりも多く、スクラムが崩れることもあった。

またプロップは空いた手を膝の上に置くスタイルが主流であり、バインドもお互いを支え合うというより、絞ったり揺さぶったりするためのものであった。

そのためジャージを掴まれることを嫌い、ノースリーブのようにジャージの袖を切り落とすプレーヤーもいた。

また敵ボールのスクラムで、相手フッカーがフッキング(スクラムに投入されたボールを掻き込むこと。)をしづらくするために、フッカーが意図的に頭を下げて組んだり、左プロップがパックを緩め、押すアングルを変えて右プロップの胸元に潜り込んだりと、様々な工夫をしていた。

しかしこれらのプレーは現在ペナルティーとなっている。

そしてレフリーがスクラムをコントロールするということは、国際クラスのゲームではフォワード8人のパックウエイト(pack weight)が1t近くなるスクラムで、組み合う時の衝撃を緩和して、

当たりをつっかけて怪我をすること、グレーゾーンのプレーにフラストレーションがたまった選手の小競り合いを防止することにも役立っている。そしてこのことで言えることは「スクラムが強いチームが勝つ。」ということだ。

ただここに言う「強い」とは、決して体が大きく体重があるとか、腕力があるとかではない。鋭い当たりで膝を低くした姿勢(これはタックルやスイープ《ラックやモールで敵プレーヤーを押すこと。》の姿勢にもつながる。)を保つこと、

頭を下げないこと、2列・3列のプレーヤーのセットの仕方と押し込み、足首の角度、果てはピッチに掛かるスパイクのポイントの使い方まで、統一された理解を持ち、フォワード8人が強固なバインディングで1つの塊になることである。

2019ラグビーワールドカップの日本vsアイルランド戦では、体の小さい日本代表が強豪アイルランドのスクラムを押し切った。印象的だったこのプレーはチームにも、そしてそれを見ていたサポーター達にも勇気を与えてくれた。

このようにスクラムはラグビーのチーム力をも現すプレーであり、スクラムに拘りをもつチームも多い。また試合に勝ってもスクラムで敗れると、素直に喜ばない選手もいる。

それだけにファースト・スクラム(試合で最初のスクラム)には、相手チームの力を量るためにも、自チームの力を示すためにも全力で兆む。

数年前の大学選手権の決勝で、お互いにいきり立ってなかなかファースト・スクラムが組めない状態の時、ピンマイクを通じたレフリーの声は「気持ちはわかるけど、お互いに最初のスクラムをちゃんと組もう。」だった。

 

Rugby Sport Ball Grass Leisure  - Vladvictoria / Pixabay
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