このページでは、ラグビーで最もボールを持つ回数が多いポジション。スクラムハーフの役割とスキルについて紹介する。
スクラムハーフはフォワードとバックスの中継となりリーダーシップが求められ、周りとのコミュニケーションと連携を取る事で完成度の高い攻撃を生む戦術の軸となる。
スクラムハーフの役割
スクラムやラインアウト、ラックからパスを供給するのはスクラムハーフの役割である。パスをより高度な形で供給する為にはまずフォワードの力が必要だ。
強いフォワードがいるチームのスクラムハーフは力を発揮できる条件が整っていると言える。
セットプレーではフォワードと連携を取りバックスにパスをする。ラックでは複数の選手が戦う中、ボールをキープし次の攻撃を続ける。
上記はいずれも密集戦のプレッシャーの中でプレーをしなければいけない。
スクラムハーフのパスは、ただパスをするのではなくプレッシャーの中で攻撃の軸になるためにパス供給し続ける必要があるのだ。
強いフォワードがしっかりとボールをキープし、気持ちよく球出しが出来る状況を作りたいところだ。
↓ブレイクダウン(密集)でのスクラムハーフの球出し
http://blog-imgs-21.fc2.com/
ブレイクダウンをコントロール
ラック周辺でスクラムハーフは敵ディフェンスの的になり易い。パスをした直後に相手から強烈なタックルを喰らう事はしばしばある。
スクラムハーフがよりプレッシャーから解放されパス等のプレーに集中する為にはブレイクダウンに関わる味方のサポートが必要だ。
その中でも接近戦専門の多いフォワード選手達を操りゲームを組み立てなければならない。スクラムハーフが担う役割の大きさがここに表れている。
ブレイクダウン(密集)はいわばボール争奪戦だ。
展開力のあるバックスの人数を残しつつブレイクダウン(密集)で勝ちボールを確保するには、フォワードへ指示をしボール支配率を上げなければいけない。
ラグビーではこのブレイクダウン(密集)こそ強者と弱者の差が最も出る力の差でもあるのだ。
↓ディフェンスのプレッシャーを受けながらパスを供給する田中選手
必要なスキル
小柄な選手が多くいるスクラムハーフではパス専門ともいえるような選手もいればディフェンスが得意な選手、自ら攻撃を仕掛ける選手もいる。
とはいえ、パスが下手くそでは話にならない。
まず、パスだ!パスは早く伸びるとより良い。
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ただ、早いから良いパスというわけではないから難しい。スタンドオフが取りやすい愛のあるパスが要求されるのだ。
パススピードが遅ければ遅いほど敵のディフェンスは攻撃ラインに詰めて早いタックルをされてしまう。スクラムハーフのパスこそ攻撃ラインの起点と言っても過言ではない。
キックならより正確さが必要だ。ボールタッチする場面がスタンドオフと違いキックフォームまで異なる為、より正確性があり味方との連携の取れたキックが要求される。
スクラムハーフはスタンドオフよりも周りとの連携が難しい事から、ランで攻めるならディフェンスのギャップを上手に見つけなければいけない。
ディフェンダーの特徴は様々で効果的な攻撃は一概にこれとは言い切れないが、ディフェンスラインは精神状態を表すものでもある。
焦って規律が守れていない選手がいればディフェンスラインは整わない。そこを突き効果的なアタックを仕掛けるべきである。
ただしスクラムハーフの多くはフィジカルの強度が足りない選手が大半だ。味方の位置を把握しながら自分で仕掛け、相手に捕まる前にタイミングよく見方にパスを供給する事が出来れば、大きくブレイクする事が出来る。
様々なタイプがいるスクラムハーフがいるが、ここで活躍している2選手を例に挙げよう。
田中史朗 165cm 75kg
https://www.instagram.com/p/arzjG9JKL6/?utm_source=ig_web_copy_link
世界最高峰リーグ・スーパーラグビーで日本人第1号選手。2015年ワールドカップでは大会最小サイズで戦い歴史的勝利を果たした南アフリカ戦の最優秀選手賞を受賞。
大柄で強く早い南半球の選手にはフィジカルで歴然の差があるが、サイズを活かし小さなスペースに攻め相手ディフェンスをかく乱できる。
特に味方に走りこむスペースを作る攻撃センスは絶妙だ。そしてそのファイティングスピリットは世界でも評価されている。
↓田中選手のディフェンス
ニュージーランド代表 TJペレナラ 184cm 94kg
サイズで言えば日本で言われる大型センターだろう。しかし数字では知りえない彼のプレーは想像力豊かなアタッカーだ。ラグビーをよく理解している為、様々なチャンスに顔を出し自らもらいに行く。
スクラムハーフながらランニングセンスは非常に高い。世界最強国にいて高レベルの選手達の中では彼の発想は活きる。
最後に
サイズでいえば似ている選手もいるが、それぞれの選手が何かしらの特徴を持ち、所属チームの要求に応え続け先発出場を続けているのスクラムハーフの仕事だ。
ただパスを供給するだけでは仕事ではない。それは、ただパスを出すという作業をしているだけだ。作業はいずれ機械に仕事を奪われてしまう。
そんなスクラムハーフはチームに必要とされない。常にチームの動きをコントロールし、時にはフォワードのケツを叩いて動かし、時にはスタドオフのサインを無視し最善の判断を自分で選択する。
そんな事が出来るのもスクラムハーフの醍醐味である。
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