2019年10月20日(土)日本対南アフリカ 3-26
日本代表初のベスト8は、南アフリカ代表のディフェンスの前にノートライに終わった。ペナルティの数は8個づつで同じ。南アフリカは10分間の退場を1人出してしまったにも関わらず、日本代表の怒涛の攻撃をノートライに抑えた。
タックルのスタッツを見てみると、前半に日本が攻める時間が多かった分、南アフリカのタックル数が多かった事が分かるが、南アフリカのディフェンスの凄さはタックル数では見えてこない。
南アフリカ | 日本 | |
タックル | 148 | 103 |
タックル失敗 | 20 | 15 |
成功率 | 88% | 87% |
南アフリカのディフェンスの凄さは、1人1人のタックルの強さ!
ただ、倒すだけじゃない。次のアタックに繋がるような攻撃的なタックルを仕掛けてくる。
ディフェンスで前に出る事が出来るのだ。もちろん日本代表も同じような強いタックルを狙っている。しかし、南アフリカ相手には数多くの有効なタックルを決める事が出来なかったのだ。
激しいタックルを幾度と決められれば、アタックは攻め手を失いキックを蹴るしかない。キックからのアンストラクチャーに委ねるしかなくなるのだ。
このページでは、南アフリカ代表が幾度となく日本代表の攻撃のリズムを殺した強いタックルについて振り返りたい。トライよりも効果があると言われるこの激しいタックルは、勝利をもたらす上で最も重要なプレーなのかもしれない。
南アフリカの激しいタックル
この試合、最初に南アフリカが激しくタックルに入ったのは前半9分 南アフリカ1番のビーストことムタワリラが1番稲垣に決めたタックル。危険なプレー(シンビン)としてペナルティーとなったものの、プロップとは思えない低いタックルで観客を沸かせた。
続いて前半13分 ハーフウェイ付近の日本の攻撃。10番田村 ⇒ 12番中村がパスを受けた時、南アフリカ3番 フランス・マルハーバが12番 中村へ強烈なタックルを決めた。思わず実況も「うわっ!強烈な・・・」とコメントするほどの激しいタックル。
しかし、まだ日本の攻撃は続く。11番福岡のランで大きくゲインし巡目に攻撃を続ける。9番流 ⇒ 5番 ジェームス・ムーア の内に走り込んできた山中がナイススピードでボールをもらうも南アフリカ8番デュトイに一発で仰向けにされてしまった。
前半20分 日本陣地10m付近 10番田村からパスを受けた13番ラファエレに対し、南アフリカ13番のルカンヨ・アムが激しくプレッシャーをかけ、13番ラファエレを5m以上押し返した。まさにディフェンスをしながら前に出るプレーだ。
前半27分 日本代表の怒涛の攻撃。日本のペネトレーター8番姫野に対し、南ア12番デアレンディの激しいタックルで押し返す。その後も攻撃を継続する日本だが、1番稲垣 ⇒ 5番ジャームス・ムーアがパスを受けた瞬間、南ア6番シア・コリシと5番のデヤハーのダブルタックルで仰向けにされてしまった。
南アフリカの脅威のダブルタックルはまだまだ続く。前半33分 ハーフウェイ付近の日本ラインアウト 10番田村からパスを受けた8番姫野に対し、南ア10番ハンドレ・ポラードと6番シア・コリシがダブルタックルで押し返した。
南アフリカの強烈なタックルは、後半になっても続いた。後半9分 南アフリカのキックボールを12番中村が拾い、加速からゲインを狙うも南アフリカ9番デクラークと14番コルビのダブルタックルで仰向けに。
同じく後半9分 日本の連続攻撃。6番リーチが南アフリカ1番ムタワリラの低いタックルで返された後、4番 トンプソンも南アフリカ8番 ドウェインに押し返される。更に巡目に攻撃を仕掛けるも最後は交代で入った22番 松田が南アフリカ12番デアレンディに仰向けにされターンオーバーされてしまった。
後半20分には、日本が得意とするオープン攻撃も南アフリカ15番 ルルーの速い上りに、11番福岡がパスを受けた瞬間にドンピシャで入られ仰向けにされてしまった。
幾度となく、激しいディフェンスで日本の攻撃をシャットダウンした南アフリカに対し日本代表が相手にプレッシャーを与えたタックルは後半39分 南アフリカ11番 マピンピのランプレーを一発で仰向けにした14番松島のタックル、
そして終了間際 南アフリカ19番 スナイマンに対して炸裂した、18番ヴァル愛と1番稲垣のダブルタックルの2本くらいだった。
常にディフェンスの人数を優位に保ち、一発で倒すよりダブルタックルによりアタックを押し返すディフェンスは、エディージョンズ率いる イングランドのディフェンスと似ている。
そして、ワールドカップ2019年 決勝カードはイングランド 対 南アフリカ
世界最高のディフェンス能力を持つチーム同士の試合にトライは生まれたのだろうか。