ラグビーの「華」と呼ばれるプレーは数あれど、タックルがその最有力候補になる事は間違いない。
日本中のラガーマンで、アタックが得意な選手は大勢いるが、タックルを得意とする選手はほんの一握りだ。
華麗なステップでトライを量産するウイングがいる一方で、タックルで相手のトライを防ぐプレイヤーは勇敢だ。
目次
タックルの素晴らしさ
ラグビー界の名言に以下のような言葉がある。
「アタックでチケットは売れるが、勝敗を決めるのはディフェンスだ」
これは、1本のトライよりも1本のタックルの方が価値がある事を意味する。
タックルとは正にラグビーを象徴するプレーの一つであり、その派手さ、その泥臭さ、その激烈さ、場面によっては外されてさえも絵になるというドラマ性。どれをとっても正に「華」と呼ぶにふさわしい。
ところで、タックルというとつい「正面から」と思ってしまいがちになるが、実は後ろからのタックルも存在する(ルール上禁じられていない)という事をご存知だろうか。
タックルをする際の反則は多々あるが、原則として「ボールを持っている選手が立っている(走っている)状態」であればタックルは成立するのである。
ただし、首から上へのタックル、パックと呼ばれる相手を両手でホールドする行為をしないタックル(相撲のぶちかましに近い)、両足を持ち上げて頭から落とすタックル、空中に居る相手へのタックル等は「危険なタックル」として禁止されている。
ラグビーはここ三十年でルールが色々と様変わりしたが、これらのタックルに対する反則の厳密化は安全を守る上で非常に好ましいルール改正である。
アンクルタックルを覚えよう
逃げる相手を追うのだから前からよりは恐怖心は少ないだろう、と思われるだろうが、実は後ろからのタックルもなかなか怖いものなのである。
先ほど記載したとおり、首から上へのタックルは禁止されている。胴回りに例え張り付いたとしても彼我の体重差によってはそのまま引き摺られ、いとも簡単にパスを繋がれて意味の為さないタックルになってしまう。
スパイクの踵でアゴを蹴られて出血する怪我もする選手も多い。
そもそも後ろからタックルするという事は、既に抜かれてそれを追いかけるという状況であるわけで、一発で仕留める事が要求されている状態だ。
一発で仕留めるためにはどうすれば良いか。
一番確実な方法は足を止めることである。猛然と蹴り上げるスパイクに怯える事なく、足首目掛けて頭から飛び込み、相手の両足を「刈る」のである。
目の前に迫るスパイクを想像したら、後ろからのタックルも「決して楽ではない」という事がお分かりになられるだろうか。
ちなみに、後ろからのタックルの番外編として「足裏を触る」というものも存在する。
これは既に抜かれてトライされる事は確定、だがコンバージョンキックを有利に蹴らせない為に中央に回りこませたくない(トライ後のコンバージョンキックはトライした地点の延長線上から蹴らなければならない。
ピッチの端にトライすれば自然とコンバージョンキックの難易度は上がるのだ)、「せめて」という事で手を精一杯伸ばし、相手の足裏をはたいてバランスを崩させ、その地点にトライせざるを得ないようにするタックルだ。
↓踵タックル 下記動画13秒~
これなどは「泥臭い」に該当するタックルかも知れないが、それでもラグビーの「華」の一部であると言えないだろうか。
いずれにしろ、首より上でなければ、ラグビーは後ろからタックルに行ってよいのである。
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