ラグビーQ&A

ラグビールール スクラムで起きている反則が「イマイチ分からない」と言う人へ

ラグビーにおいてセットプレー(スクラム)は試合の鍵を握ると言われる。このページでは、そのセットプレー(スクラム)で起こり易い2つ反則行為を紹介する。

これからは、試合中のスクラムでレフェリーが突然笛を吹いて右手を上にあげた際、「何?」とならずに、「レフェリー厳しいな。」という見方になるはずだ。


http://docomo-rugby.jp/sp/rule/foul.html

目次

レフェーリーの声より早く相手に当たるのはダメ!

スクラムを組む時、レフェリーの「セット」という声に合わせて組まなければいけない。この声よりも早く組もうとすれば「アーリーエンゲージ」となり、相手ボールのフリーキックとなる。

まずスクラムではレフェリーが以下の順に声を出す。選手はそれに合わせて各々が準備し一体となる。

①クラウチ・・・最前列のフロント―3人が腰を落としスクラムの姿勢を組む。

 

②バインド・・・両サイドのプロップと呼ばれる大男達がお互いの肩を掴む。

 

③セット・・・このコールの瞬間、両チーム共に組み合う。

 

 

まず伝えておきたいのは、スクラムやラインアウトは試合を左右する程に重要なセットプレーである。その行方はバックスのプレーにも影響しエリアマネジメントにも影響を及ぼす。

では、なぜアーリーエンゲージが起こるのか?

アーリーエンゲージが起こる原因は、スクラムにおける最初の接触(ヒット)が相手より遅れを取らない事を意識する為である。

相手と一定の間合いを持つが接触前のスピードを出しきれず相手に食い込まれてしまえば、スクラムをコントロールされてしまうかもしれない。

スクラムを組む前にフロントロー、ロック、バックロー、フォワード全ての選手が定位置に就きレフェリーのコールを待つ。この時が、レフェリーによる「クラウチ」のコールでもある。コールの間はレフェリーにより様々だ。強い姿勢のまま待つという部分も日々の練習からできるもの。

また、その「待つ」行為こそが8人のフォワードがスクラムでパワーを溜める唯一無二の時間なのだ。8人のフォワードはレフェリーの声に合わせて各々が力を溜め、相手フォワードにスクラムで打ち勝つ為に呼吸を合わせて迎え撃つ。

アーリーエンゲージはまさに、その呼吸がレフェリーと合わない時に起こり易い現象でもある。

試合前、両チームの選手はレフェリーとルールやプレーについて必ず説明を受ける時間がある。なぜならレフェリーによって反則の捉え方が若干変わる事がある。ある試合のレフェリーがアーリーエンゲージに寛容なら次の試合のレフェリーは厳しく判定する事はよくある。

試合前のブリーフィングでは、オフサイドラインの解消はどのタイミングなのか?ノットリリースザボールはどれくらいで笛を吹かれるのか?など事前に確認する事も多いです。

つまり、ラグビーにおいてレフェリーと話し合いながら試合を進めていかなければいけない典型的な部分でもある。

レフェリーも人の子、レフェリングに文句を言われれば、嫌になる。

スクラムを故意に崩したらダメ!

 

スクラムとラインアウトは通常8人同士、計16人による塊が一つのボールを巡って戦う。

コラプシングとは、その2つのセットプレーを故意に崩してしまう行為を指す。膝が地面につく場合でもコラプシングだと判定される場合が多い。コラプシングが発生すれば相手ボールのペナルティとなる。

 

まずスクラムにおけるコラプシングは判定が容易ではない。

 

力の差が歴然とあってコラプシングを犯してしまうケースもあれば、片方のフォワードが意図的に崩して相手のコラプシングと見せる為に力をコントロールする場合もある。

高校ラグビーでは5m以上スクラムを押せない為、コラプシングが目立つ事はないかもしれないが、大学ラグビーやトップリーグではスクラムを押せる制限というのは設けられていない為、スクラムが強いチームこそ有利に試合を運びやすい傾向にある。

一見、ただの塊で押し合っているように見えて緻密に考えて行っている結果の姿でもある。

代表例としてスクラムトライや、スクラムからの認定トライがある。例えばこの戦法を最も多く使用してきたのは、伝統の明治大学ラグビー部だ。

敵陣トライライン5mで自軍ボールのスクラムとなれば、明治フォワードは迷わず押し込む。そして、大学ラグビー界でも屈指の大男達が揃う明治大学のフォワード陣による圧力で、相手は堪らずコラプシングを起こす。

通常はペナルティとなるだけの場合が多いが、その押され具合によってレフェリーは「このまま押せばトライだったが、コラプシングが起きた為認定トライ」と判定するケースは珍しくない。

この時点で、自陣5mのトライライン前で相手ボールのスクラムにさせてはいけないという事実だけを相手に叩きつけられる。

↓スクラム コラプシング集

スクラムを故意に回してはダメ!

アーリーエンゲージやコラプシングの次に多いのが”スクラムホイール”

ルールブック上はスクラムが90度以上ホイールした場合、スクラムを再度組み直しリスタートするのがルール。しかしこれは、双方が故意にスクラムを回そうとしているわけではなく回ってしまった場合だ。

通常、スクラムが押されているチームがスクラムを押されながら回ってしまった場合、故意に回した≒故意にスクラムを崩したとレフェリングされる事が多い。

その場合、レフェリーはスクラムを押しているチームにアドバンテージを与え試合を進める。一方で、単純にスクラムが回ったと判断し”スクラム組み直し”のレフェリングをするレフェリーもいる。

ラインアウトモールによるコラプシング

これはスクラム同等に力と技術の差が出るラインアウトについても紹介する。

ラインアウトではジャンパーがボールをキャッチし着地と同時に密集=モールが出来きる。ボールを持った側がモール敵陣の方へ前に前に押す際、ディフェンス側が故意にモールを崩せばペナルティとなる。

モールは戦術が多様にある為、コラプシングがスクラムよりもより顕著に現れやすい。

ラインアウトモールへのディフェンス相手ジャンパーがボールをキャッチし地面に着地してから始められるプレーである。着地の瞬間にディフェンスはタックルの姿勢で相手のお尻の当たりに肩を当てに行くのが基本。

ディフェンスに入る選手達は、ただ真っすぐ止めにいっているのではなく、頭を上げて各々が入るべき場所を判断しタックルに行っている。

モールのコラプシングはそんな選手達の”力で負ける”場合によく起こるのだ。ディフェンス側に軽量選手が多く、攻撃側に重量かつパワーのある選手が揃ってしまった場合、ディフェンス側にとってこれほどゲームが不利と考えられるものはない。押されないために崩してしまう事も少なくないのだ。

モールは推進力が圧倒的にスクラムを上回る。逆に戦術によっては軽量級の選手達でも重量級の相手に対しても前進できトライを取る事も可能なのだ。

コラプシングというのは、真正面から衝突しても相手のペースを止める事が出来ず、ディフェンスが苦しい時に起こしてしまう反則でもある。

まとめ

上述の通り、スクラムが負けているチームが反則を起こしてしまう事が多い。

①押されない為に、敵より早くスクラムを組んで少しでも前に出る → アーリーエンゲージ

②これ以上スクラムを押されないように頭を落とす! → コラプシング

この2つの反則が理解出来ていれば、今まで以上にラグビーの試合を楽しく見る事が出来るはずです。

 

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