世界のラグビー界では、いかに効率的にボールを前に進めるかという研究がなされてきました。その中で注目されたのが「キックパス」です。
今では多くの強豪チームが戦術に取り入れています。そこでこの記事では、キックパスの重要性と使い方について解説していきます。
上手な選手が貴重なプレーヤーになるぞ!
なぜ「キックパス」が注目され始めたのか?
ラグビーでは、パスを自分の真横、もしくは自分より後方の選手に出さなければスローフォワードという反則を取られてしまいます。そのため、もしパスしか戦術がないと仮定すれば、敵陣のゴールに向かうためには、パスを受けた選手がひたすら前方に走るしかないわけです。
しかし、キックであれば、たとえ自分より前にボールを蹴っても反則ではありません。ですから、キックは敵のゴールに迫るための大きな武器となるのです。
特に現代ラグビーではキックを使って味方にボールを渡す、いわゆる「キックパス」の重要性が増してきています。前方にボールを進めることができ、なおかつ味方にボールを渡すチャンスがあるということで、現在では最も注目される戦術のひとつとなっているのです。
「キックパス」に関連するルールと基本的な使い方
手でパスを出すのではなく足を使ってパスを出せば、ボールを大きく前へ進めることができます。そこに味方が走り込んでボールを確保しチャンスを一気に広げる、というのがキックパスの基本的な考え方です。
ただし、そこにもルールは存在していて、キックしたボールに触れることができるのは、キッカーよりも後ろにいた味方、あるいはキッカーよりも後ろにいた味方に追い越された味方に限られます。
キッカーより前にいた味方がボールに触れてしまうとオフサイドという反則を取られてしまうのです。
ですから、キックパスを実行する場合は、キッカーは自分より後ろにいる味方がキャッチできる場所にボールを蹴らなければなりません。
そのため、スクラムハーフやスタンドオフがあらかじめサインを出し、オフサイドにならない場所にいる選手が走り込めるようにするケースもあります。もちろん、試合中のとっさの判断で、ボールを保持している選手がキックパスを選択する場合もあります。
「キックパス」はどのような場面で有効か?
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具体的には、以下のような場面でキックパスを使うと最大限の効果を得ることができます。
「キックパス」はどのような場面で有効か?
モールやラックに両チームのフォワードが密集しているときは、バックスラインの視線もそこに集まりがちです。マイボールになるのか、相手ボールになるのか分からないときには、さらにバックスラインの緊張感も高まります。
そこでマイボールになったときはキックパスのチャンスです。相手はタッチライン際への集中力を欠いているため、外に開いたウイングやフルバックの選手にキックパスを蹴り込みます。パスの受け手になる選手がタッチラインの外側から走り込むと、相手の視界の外から切れ込めるため、さらに有効です。
■相手がゴールラインを背負ってディフェンスしているとき
ゴールライン目前まで攻め込んでいるときは、相手ディフェンスはゴールラインを割らせまいとディフェンスを固めてきます。フォワードであれば密集のサイド、バックスであればトイメンに集中するでしょう。
このような状況では、軽いタッチのキックパスをインゴールに蹴り込みます。完全にディフェンスラインの裏側に蹴るイメージです。相手は前のめりのディフェンスラインを敷いているため、インゴールは手薄になっていてトライチャンスにつながります。
■パスとランだけではなかなかゲインラインを突破できないとき
パスでもランでもゲインラインを突破できずに、グラウンドの中央付近で膠着状態に陥るケースがあります。ハイパントやロングキックを相手陣内に蹴っても、相手のフルバックが深い位置で守っていれば、カウンターアタックを受ける危険性が高まるでしょう。
そのようなときのキックパスの選択は非常に賢明な判断のひとつです。ただし、相手にボールを奪われてしまえば、反対に大きなゲインを許してしまいます。
ですから、キックパスはタッチライン際に蹴るのがセオリです。ダイレクトタッチになるかならないかのギリギリのところに蹴り込み、受ける選手もタッチライン際に走り込みます。
キックのコントロールに自信がない場合は、ゴロのキック(グラバーキック)でもよいでしょう。これなら、たとえタッチラインを割ってもダイレクトタッチにはならず、敵陣深く攻め込むことが可能です。
⇓動画:キックパス集
【まとめ】「キックパス」を取り入れて有利に試合を進めよう!
現代ラグビーではキックパスは重要な戦略として位置づけられています。トライを取りたいときはもちろん、敵陣の深い場所に攻め込みたいときにも有効です。キックパスの重要性や使い方を理解したうえで、早速練習に取り入れ、試合で活用してみましょう。
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